愛鳥との暮らしの基本と病気などで困ったときの対処法

ペットをおうちに迎えて一緒に過ごしていると、必ず動物病院に行かなければいけない日が来ると思います。でも、動物病院に電話をするのはちょっと敷居が高く、こんな症状で相談していいのかな? と思うこともあるかもしれません。
今回は、愛鳥をどんなタイミングで病院に連れて行ったらいいかを解説します。

鳥を診察できる動物病院を探しておこう

鳥は、具合が悪くてエサを食べられなくても、エサをつついたりして元気なふりをすることがあります。そのため、飼い主が愛鳥の具合が悪いことに気づきにくく、さらに小さくて体力もないため、病気の発見が遅れると命取りになることもあります。
また、いざ病気になったときに、犬や猫と比べると鳥を診察してくれる動物病院の数が少なく、混み合っていることが多いです。

以上のことから、鳥をお迎えするときには、必ず家から通える距離に鳥を診察してくれる動物病院があるか調べておき、お迎え後すぐに健診へ連れていきましょう。かかりつけ医を作っておくことで、急に具合が悪くなったときも動物病院が対応してくれる可能性が高くなりますし、飼い主さんも動物病院が決まっていればあわてずに相談することができます。

動物病院に連れていくべきサイン

いつもより元気がない、膨らんでいる、食欲がないなど、明らかに具合の悪い症状があればすぐに動物病院に受診しましょう。病気によっては受診が遅れると命取りになることがあります。

日頃の愛鳥のお世話の中で注目するべきポイントは、体重と排せつ物です。鳥は元気なふりをしますが、体重や排せつ物までは隠せません。
いつもより体重が少ない場合は、エサを食べられていない可能性があります。一方、体重が増えるときは、メスの場合発情や産卵が関係している可能性があります。産卵は生理的なことなので、卵を産んでも元気で食欲があれば、ビタミンやカルシウムをしっかりと与えて様子を見ましょう。元気がなかったり、膨らんでいたりしたら動物病院に相談してください。その他に体重が増える原因として、体の中に腫瘍がある場合もあります。いつもの体重から変化がある場合は、具合が悪そうに見えなくても一度動物病院に相談することをおすすめします。

鳥の排せつ物は、主に「便」「尿酸」「水分尿」の3つに着目します。

画像1.鳥の排せつ物

便は形や色を見ます。便の色が黒くなっているときは、胃や小腸からの出血が考えられます。鮮やかな緑になってしまっていたら、エサを食べられていないことが考えられます。

画像2、3.黒い便(左)と鮮やかな緑色の便(右)

尿酸は通常、白色~クリーム色です。黄色や緑になっていたら緊急性が高いです。水分尿があまりにも多いときは、腎臓病や糖尿病の疑いがあります。
排せつ物がいつもと違う場合も動物病院に相談しましょう。

画像4、5.黄色い尿酸(左)と水分尿が多い様子(右)

愛鳥の具合が悪いとき、家でできる一番大切なことは保温です。愛鳥は寒いときは羽を膨らませて、暑いときは口呼吸をしたりワキを広げたりして体から熱を逃します。愛鳥の膨らみが取れ、かつ暑がらない温度で保温してください。

また、食欲がないときには、夜間も部屋を明るくしていつでもエサが食べられるようにしてあげましょう。

画像6、7.羽を膨らませている状態(左)と熱を逃がしている様子(右)

愛鳥が病気にならないために気を付けること

愛鳥が病気にならないためには、栄養があるエサを与えることが大切です。犬であればドッグフードがあるように、鳥にもペレットというエサがあります。多くのペレットは総合栄養食と呼ばれ、それだけで栄養バランスが取れる食事です。一方、古くから鳥のエサであるシードは、単体だとビタミンやミネラルが不足するため、ビタミン剤も一緒に与える必要があります。

また、ある程度の暑さ・寒さを防いであげることも重要です。ケージのそばに温度計を置き、暑くなりすぎてないか、寒くなりすぎてないか常にチェックしてください。特に、寒さに対しては保温器具を用意し、サーモスタットにつないでセットした温度以下になったらいつでも保温電球がつくようにしてあげましょう。

また、しっかりとした体重管理も重要です。痩せさせすぎたり太らせすぎたりすると、弱ってしまう原因になります。獣医師に適正体重をみてもらい、その体重を維持するように体重測定をしながらエサの量を調節してください。

おわりに

今回は、愛鳥が健康に過ごすためのお世話のポイントや、動物病院へ行くときのサインをお伝えしました。
お迎えしたペットは、いつか必ずお別れする日がやってきます。動物病院との関係は、愛鳥と過ごすうえでとても大切です。動物病院もそれぞれ特色があるので、愛鳥が元気なうちに自分に合う動物病院を見つけておきましょう。皆さんと大切な愛鳥が、毎日元気で過ごせることを願っています。

【執筆】
寄崎まりを(よりさき・まりを)
獣医師。森下小鳥病院(東京都台東区)院長。日本大学生物資源科学部獣医学科を卒業後、犬猫の動物病院、横浜小鳥の病院で勤務。The bird Clinic、Broward Avian &Exotic Animal Hospitalでの研修を経て、鳥専門の動物病院を開業。愛鳥たちにとってベストな診療環境を整えている。

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