コンパニオンバードのフードの選び方

日本で主に飼育されているコンパニオンバードは、セキセイインコやオカメインコ、文鳥などの小型・中型のインコおよびフィンチ類が大半を占めますが、ヨウムやタイハクオウムなどの大型種もいます。

今回は、そんな種類が豊富なコンパニオンバードのフードの選び方を紹介します。

画像1.セキセイインコ

フードの選び方と与え方

コンパニオンバードのフードは、主にペレット(総合栄養食)とシード類(アワやヒエ、キビなど)の2種類に分類されます。

ペレット(総合栄養食)

獣医師や専門家の間で最も推奨されているのがペレットです。鳥に必要なタンパク質や脂質、ビタミン、ミネラルなどがバランス良く配合されているため、栄養の偏りを防げます。
健康維持のために、70パーセント以上の割合でペレットを主食とすることが理想です。

シードをメインに食べていた鳥はペレットを食べないことがあるため、ペレットに切り替えるときは粉にしてシードにまぶすなど、時間をかけて徐々に慣らす必要があります。

画像2.ペレット

シード類

アワやヒエ、キビなどが古くから主食として使われてきました。嗜好性が高く、皮付きタイプは皮むき行動がストレス解消につながります。ヒマワリの種やオーツ麦などの脂肪分が多いものばかり食べると、肥満や栄養不足になりやすい欠点があります。カロリーが高いものは、コミュニケーションやご褒美として少量与えるのが適切です。

卵を産むメスや主食がシード類の鳥はカルシウム不足になりやすいです。そのため、ボレー粉(カキ殻)やカットルボーン(イカの甲)を常にケージ内に用意してあげましょう。

画像3、4.ミックスシード(左)とカットルボーン(右)

副食

副食は、食の楽しみを与えるために、小松菜やチンゲン菜などの緑黄色野菜、リンゴ、バナナなどを少量与えるのが良いでしょう。
アボカドやチョコレート類、ネギ、カフェイン類、人間用に味付けされた食品などは中毒症状を引き起こすため、絶対に与えてはいけません。

1日の給餌量とライフステージ別の注意点

給餌量の目安

一般的に、鳥の体重の約10パーセントが1日の給餌量の目安とされています。ただし、鳥種や活動量によって大きく変動するため、鳥の体重と糞の状態を毎日確認しながら調整することが最も重要です。

画像5.鳥種ごとの1日の給餌量の目安

ライフステージごとの注意点

■ヒナ
成長のために、高エネルギーなフードが必要です。パウダー状のフォーミュラフード(栄養補助食品)をお湯で溶かしてスポイトなどで与える、さし餌が必要です。

■成鳥
運動量が少なくなるため、肥満に最も注意が必要です。肥満ぎみであれば、獣医師と相談してシードから低脂肪ペレットに切り替えるなどをして総給餌量を減らします。

■繁殖期・換羽期
タンパク質やカルシウムの摂取量が増加するため、高カロリーや繁殖期用のフード、ボレー粉などを与えましょう。

■老鳥
消化機能や代謝が低下するため、脂質の少ない低カロリーフードがおすすめです。固いフードが食べづらい場合は、お湯などでふやかす工夫が必要です。

フード選びの注意点

成分

小鳥の健康維持のため、パッケージの保証成分や原材料を確認することが重要です。

■粗たんぱく質
成鳥での目安は、フード全体の12~14パーセント程度です。高すぎると肝臓に負担がかかる可能性があります。

■粗脂肪
目安は4~6パーセント程度です。脂肪過多は肥満や脂肪肝の原因となるため、注意が必要です。

■粗繊維
目安は3~6パーセント程度です。消化に関わる重要な成分です。

■添加物
人工的な着色料や添加物が多く含まれていないかを確認し、無着色や天然由来のものが良いでしょう。

鳥種・サイズ別

パッケージに記載されている対象鳥種に合わせましょう。ペレットは、セキセイインコや文鳥は小粒タイプ、オカメインコなどの中型インコは中〜大粒の噛み砕ける硬さが適しています。

迷ったときはどうすればいい?

コンパニオンバードの飼育や給餌で迷ったときは「鳥専門の獣医師」に相談することが最も安全な解決策です。体のつくりが犬や猫と大きく異なるため、小鳥専門の獣医師がいる病院を探し、定期的な健康診断(バードドック)を受けることが大切です。

給餌量で迷った場合は、病院での体重測定と糞便検査の結果を基に判断してもらいましょう。自宅でも、毎日決まった時間に体重を測り、糞便(色、形、量)や食欲・行動を徹底して観察することが、異常の早期発見につながります。

おわりに

コンパニオンバードとの暮らしでは、体調不良を表に出さないことやフードの好き嫌いがあるなど、飼育において少し難しいこともあります。しかし、適切なフードを与えて定期的な健康診断を行うことで、セキセイインコや文鳥ではおよそ10年、中型インコになると約30年もの間一緒に暮らすことができます。飼い主を大事な家族と認識し、一緒に生活してくれるかけがえのない存在なので、日々の様子を観察して楽しいバードライフを過ごしましょう。

画像6.ホオミドリアカオウロコインコ

【執筆】
株式会社ペッズイシバシ
鳥類を中心に、小動物のフードや飼育用品などを製造・販売しているペットフードメーカー。
HP:https://www.pets1484.co.jp/index.html
X:@Pets1484

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