あの鳥のここがたまらない!身近な野鳥の偏愛観察記【第4回】ハトの胸、マッチョ。

駅前や公園で地面をつつきながら歩いているハト(ドバト)。

新宿駅にいたハトはボクの足元にまで近づいてきました。さすがにここまで人慣れしていると驚きです。このように、逃げない上に体も大きいので観察しやすいハト。今回はこのままハトの観察タイムへとまいりましょう!

今日も、胸を張っているハト

そもそも鳥は、空を飛ぶために大きな胸の筋肉を持っています。一般的に、体重の20パーセントくらいが胸の筋肉といわれていますが、ハトの場合はさらに大きくて、30パーセントを超えるマッチョです。

これだけ大きな筋肉を持っているので、飛ぶのがとても得意です。ほかの鳥と比べて距離、スピードともにパワフルです。
たとえば、1000キロメートルの移動もお手のもので、電話やインターネットがなかった時代では、伝書鳩として通信を担ってきました。1000キロメートルは、東京から福岡や札幌までの距離! さらに言えば、お隣の韓国・プサンへもひとっ飛びできてしまう能力の持ち主なのです。

そして距離だけではなく、スピードも速い!

平均時速は60キロメートルくらいで、最高時速は100キロメートルを超えることもあるようです。車と並走できるスピードです。

考えてみてください。人間は高性能なエンジンでガソリンを燃やして、やっと時速60キロメートルで移動できるところを、ハトはあの胸の筋肉を使って同じ速度で移動できるのです。
道端で地面をつついている鳥には、そんな能力が秘められています。

マッチョな胸は「恋の武器」

 ハトが、ノドから胸を風船のように膨らませて歩いている姿を見たことはありませんか? あれはオスからメスへの「結婚してー!」という猛烈なアピールです。
このアピールが、なかなかツッコミどころ満載です。

僕が見ている限り、メンズバトの婚活は節操がありません。メスを見ればそそくさと寄っていき、胸を膨らませてご挨拶。即フラれても落ち込むことはなく「じゃ、あなたどうっすか?」とばかりに近くにいたメスにもご挨拶。さっき振られたメスの目の前で、次へアタック。「誰でもいいのかよ!」という状態で、手当たり次第に数打ちゃ当たる戦法。メスからすると迷惑だろうなと、いつも思います。

もちろん、恋が成就するケースもあります。その場合は、オスの振る舞いが多少紳士的に見えるので不思議です。人間界では「強引なぐらいが男らしさ」という感覚はなくなりつつありますが、ハトの世界でも同じなのでは……と思わずにはいられません。

多くの野鳥は、春に恋の季節を迎えますが、ハトは一年中繁殖します。つまり、一年中どこかで婚活パーティーが開かれているということになります。駅前の広場は、彼らにとって年中無休の恋の戦場なのです。

今日、ハトを見ましたか? きっと、あなたの近くにもいるはずです。いったいどんなユニークな生き様が見られるのか、ぜひ、胸を膨らませて見てみてください。

【文・イラスト】
くますけ
子どもたちに自然の楽しさをやわらかく伝える専門家。自然ガイド歴17年。関東平野の真ん中で筑波山を眺めながら、すくすくと育つ。20代最後の挑戦で、体験型環境教育を実践するホールアース自然学校へ転職。柏崎・夢の森公園での勤務を経て独立。くだけた説明が行政・企業・先生から好評。おうち時間が増えたのをきっかけにイラストを描き始め、公園や庭で見られる自然の発見や誰かに言いたくなる話をSNSで発信している。著書に「エナガの重さはワンコイン」(山と渓谷社)。
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