フォトエッセイ 猫とのほほん日和【第3回】人見知りな僕とコワモテなおじさん

コワモテなおじさんも島に向かう

週末に猫島に行くときは、前日から体調を整え、カメラ・バッテリー・その他を準備して、船の時間を見てから出かけます。

ところで、僕は人見知りをしないように見られがちなのですが、実際はとっても人見知りです。会話が途切れて「シーン……」となる瞬間が怖く、知らない人との会話が得意ではないのです(猫との会話は得意なので、それはYouTubeの「立ち猫ちゃんねる」でご覧ください)。

船には、普通の横並びの椅子型席のほかに、靴を脱いで横になれる席があります。僕は横になれる席に陣取りました。その日の船は乗客が多かったのですが、ふとほかの席を見ると、スキンヘッドのコワモテのおじさんが、手を組んで足を開いて寝ていました。島にはちょっとコワイ人も来ているんだなと、少し緊張しました。

そんなこんなで島に着き、猫と遊びつつ島の奥まで進んだところで、島のおじさんが声をかけてきました。
「お兄ちゃん、良かったら茶でも飲んでいきや」
「あ、はい」と答え、少しおうちにおじゃましました。
すると横から、こう声をかけられました。
「まいど、アニキ! 朝飯でも食べようよ」
先ほど船で見かけたコワモテのおじさんでした。

びっくりしたのですが、話をしてみると、とても優しい人でした。その人は関西に住んでいて、現役の勤め人とのことでした。両親が島育ちの関係で、幼少期には島によく来ていたため、週末に時間を見つけては足を運ぶのだそうです。

ワンパクな子猫たち

その人のおうちの庭に子猫がいるというので、さっそく見に行き、その子猫きょうだいと仲良くなりながら撮影をしました。子猫なので当然、ワンパクで遊び好きです。
その子が『立ち猫カレンダー2023』表紙の「小さな郵便屋さん立ち猫」です。

子猫とコワモテの(だけど優しい)おじさんが遊んでいる姿を見ると、自然と和んでしまいます。

猫を通じて人とつながる

余談ですが、そのおじさんの口癖は「しょうゆこと(そういうこと)」です。彼と親しくなって素敵だと思ったのは、今でもお母さんを生まれ故郷の島に連れてきてあげていることです。

猫を通じて、いろいろな人と知り合い、その人となりを知ることができるのはとても素晴らしく、ありがたいことだと思っています。

フォトエッセイ 猫とのほほん日和【第1回】猫の写真を撮影する日々のはじまり – いきもののわ (midori-ikimono.com)
フォトエッセイ 猫とのほほん日和【第2回】TACHIのお母さんとミーコのおじさん – いきもののわ (midori-ikimono.com)

【文・写真】
山本正義(やまもと・まさよし)
大阪在住の猫写真家。猫が立ち上がる瞬間をとらえた「立ち猫」写真でブレーク。ちょっぴり力の抜けた「脱力猫」、凄い勢いの「猫来る」、気の抜けた感じの「舌猫(ぺろにゃん)」、猫が集団で行進する「ずんずんずん」など、愛らしい猫たちをとらえた写真とユニークなワードセンスがSNSなどで注目を集めている。写真展、メディア出演、講演などで各地を飛び回る日々。写真集に『立ち猫』(ナツメ社)。また、『立ち猫カレンダー2024』(緑書房)も好評発売中。
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