フォトエッセイ 猫に呼ばれて世界の街へ【第16回】シンガプーラの故郷で出会った猫たち (シンガポール)

シンガポールは東京23区より少し広いくらいの小さな国ですが、そこに金融、商業、観光が詰め込まれ、さらに様々な民族、宗教、文化が入り交じり、多彩な文化に触れることができます。

その上、緑化政策によって緑に溢れていて、チャンギ空港に降り立った瞬間から緑が感じられますし、高層ビルが林立する中でもしっかりと緑が息づいているのが印象的でした。

そして、シンガポールといえば小ぶりな体が特徴の猫『シンガプーラ』の原産地です。シンガポールリバー沿いには、シンガプーラの親子の像がひっそりと佇んでいます。小さくてうっかり見逃しそうになりますが、ぜひ探してみてください!

街の中で猫と出会う機会は多くありませんが、たまたま通りかかったお店で猫に出会うことができました。お店のご主人がカメラに猫の顔を向かせようとあれこれ動いてくれたのですが、猫は不思議そうにご主人の顔をじっと見つめているだけで、その場が笑いに包まれました。結局カメラ目線はもらえませんでしたが、猫とご主人の親密さが垣間見えて、心が温かくなりました。

別の店では、猫たちが店員さんの出勤を待っていました。正確には、朝ごはんを待っていたのでしょう。椅子の下でお行儀よく待つ姿がとても愛らしかったです。

氷風呂を提供するお店では、黒猫がお客さんを観察していました。冷たさに顔をしかめながら氷風呂に入るヒトを、まん丸な目で見つめていたのが印象的でした。氷風呂は運動後の疲労回復に効果があるようですね。

夜明け前の街でも猫の姿を見ることができました。
朝のパトロール中でしょうか。軽やかな足取りで歩く姿はどこか誇らしげでした。

貫禄のあるオス猫は、静まり返った街で自分だけの時間を楽しんでいるようでした。

最後に、シンガポールの人気の観光スポットであるナイトサファリにも触れておきます。ナイトサファリは夜間だけオープンする動物園です。園内は本当に暗いので見つけにくい動物もいますが、夜行性の動物たちを観察することができます。猫ではありませんが、同じネコ科のトラやライオンは暗闇の中でも迫力がありました。

シンガポールは都会の喧騒と自然が共存する魅力あふれる場所でした。

【文・写真】
町田奈穂(まちだ・なほ)
埼玉県出身。世界中を旅しながら、地域の猫を撮影している。猫の表情や仕草、猫が暮らす環境の色と光に重点を置いた写真が特徴。2023年に世界一周旅行を達成し、初の個展を開催。その他、企業カレンダーやグループ展など精力的に活動中。
Instagram:cat_serenade
X(旧Twitter):naho_umineko