フォトエッセイ 猫に呼ばれて世界の街へ【第20回】『猫に引き止めらながら、気の向くままの旅(カンボジア)』

2024年12月にカンボジア・シェムリアップを再び訪れたのは、前回の旅で心残りだった遺跡をどうしても見たかったからでした。同じ年の1月に訪れてから1年経たずに再訪したシェムリアップは、また違った表情を見せてくれました。

カンボジアは、11月から5月中旬までが乾季と言われています。乾季になると水が徐々に引いていくわけですが、上が今回(12月)、下が前回(1月)撮影した写真です。ほとんど同じ場所から撮影したにもかかわらず、わずか1か月で景色が大きく変わっています。12月に水面が広がっている場所は、1月には緑が広がっています。

前回は、初めての訪問ということもあり、ガイドさんに案内をお願いし、歴史や文化の解説を聞きながら車で観光スポットを巡りました。アンコール遺跡群の歴史的・宗教的背景は非常に興味深いです。
今回は、レンタサイクルやトゥクトゥクを利用し、より自由に、ゆっくりとシェムリアップの街を楽しむことにしました。シェムリアップの道は平坦なので、自転車は結構オススメの移動手段です。

そんな道中で目に留まったのは、マイペースで過ごす猫たちの姿です。ここからは、そんな彼らの姿を紹介していきたいと思います。

屋根の上でひなたぼっこをしている猫を見かけました。まるで、天日干しされた布団のように手を伸ばしていました。

こちらは、食堂の屋根でひなたぼっこをしている親子。落ち葉のクッションもあり、寝心地が良さそうです。

黄色い花が咲いているな、と見ていたら、いつの間にか足元に猫が近づいてきていました。人懐っこい子も多いです。

ふと上を見上げると、木の枝を器用に渡り歩く猫の姿もありました。

お土産屋さんの猫たちは、店先でじゃれ合って遊んでいました。その無邪気な姿に心が和み、思わず足を止めて見入ってしまいます。

商店では、猫が商品に紛れて寝ていました。そこが特等席のようです。

フレッシュジュース屋さんの店先で猫を見つけたので、そのままパイナップルジュースを注文して休憩することにしました。

このように、猫を見かけるたびに立ち止まってしまうため、なかなか目的地に辿り着けないこともしばしば。一日のスケジュールはあまり細かく決めず、気の向くままに行動するのがちょうど良いようです。

【文・写真】
町田奈穂(まちだ・なほ)
埼玉県出身。世界中を旅しながら、地域の猫を撮影している。猫の表情や仕草、猫が暮らす環境の色と光に重点を置いた写真が特徴。2023年に世界一周旅行を達成し、初の個展を開催。その他、企業カレンダーやグループ展など精力的に活動中。
Instagram:cat_serenade
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