氷の大地で生きる陸上最大の肉食動物(仙台市八木山動物公園)
ホッキョクグマはこんな生き物
ホッキョクグマ(クマ科クマ属・学名Ursus maritimus)は北極圏に生息し、オスの体長は約2.5メートル、体重は約500キログラムとクマ科の中で最も大きい種です。肉食性で、野生下ではワモンアザラシなどを捕食します。北極圏の過酷な環境でも活動できるように、非常に密な毛と厚い皮下脂肪を持ちます。ホッキョクグマは基本的に単独で行動しますが、メスと哺乳中の仔どもは2~3年間行動を共にします。

当園では現在、父親のカイ(オス、20歳)のみ展示し、母親のポーラ(メス、20歳)と2024年12月20日に生まれた仔ども2頭(性別不明、名前未定)を飼育しています。
※情報は2025年3月時点のものです。
ホッキョクグマの日常
現在、オスのカイは、朝9時の開園に合わせて寝室から運動場へ移動させます。その後、糞で汚れた寝室を水で流し、ブラシでこすって綺麗に掃除します。
10時頃、餌の準備をします。動物園では主食として馬肉を与えていて、そのほかにもアジや鶏頭、リンゴ、サツマイモ、ニンジン、小松菜、食パン、ペレットなど、1日で10キログラム以上の餌を与えています。
11時頃、屋上からプールにおやつを投げ込みます。そうすると、カイがプールの中へダイブして食べます。
15時頃、寝室に餌を設置し、閉園時間には寝室に移動させます。

飼育員さんの小話
2024年12月20日に、カイとポーラの間に2頭の赤ちゃんが誕生しました。ホッキョクグマの赤ちゃんは600グラムほどの小さく未熟な状態で生まれるため、大きく成長することが難しいです。ポーラはこれまで3回出産を経験しましたが、いずれも生後間もなく仔どもが死亡してしまいました。現在、2頭は無事に成育しています。

ホッキョクグマの交尾は通常3~7月に行われます。交尾期間は2週間程度で、1回の交尾は数分から、長いと45分以上になることもあります。交尾後、受精卵はすぐに子宮に着床せず、一定期間休眠状態になります。これを「着床遅延」といいます。秋頃、メスのコンディションが十分であれば受精卵が着床し、胎児の成長が始まります。着床後の妊娠期間は2か月程度と言われていて、11~12月になると1~3頭の赤ちゃんを出産します。
野生のホッキョクグマは、雪の吹き溜まりに巣穴を掘ってその中で出産し、約3か月間飲まず食わずで子育てをします。当園でも、巣穴のように薄暗く静かな産室を用意し、餌を与えず、ポーラが出産・子育てする様子を定点カメラで観察していました。

出産直後の数日間は、1日に100回程度の授乳があり、ポーラは授乳の合間のわずかな時間に眠っている状態でした。

2週間程度経過して授乳が安定すると、授乳回数は1日に40回程度まで減り、仔どもたちの体がだんだんと大きくなっているのがわかりました。生後1か月を迎えた頃、ポーラへの給餌を再開すると、自分の毛繕いをする余裕も出てきました。
生後2か月を迎え、飼育員が産室に近づくことに慣れてきた頃、ポーラを久しぶりに放飼場に出して仔どもたちの身体検査を実施しました。体重や体長を測定し、体に異常が無いか検査しましたが、2頭とも元気な様子でした。

飼育員さんが教えるホッキョクグマの見どころ
ホッキョクグマは複数頭出産することが多いですが、国内の飼育下においては2頭とも元気に成育する例はそれほど多くありません。2頭の仔グマがじゃれ合って遊ぶ姿は貴重だと思います。
仔どもたちは産室内での飼育が続いていましたが、今後は少しずつ放飼場に慣らす練習を始めていきます。親子の公開はもう少し先になりますが、公開後にはぜひ見に来ていただければと思います。
【文・写真】
仙台市八木山動物公園
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TEL:022-229-0122
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YouTube:仙台市八木山動物公園【公式】(八木山動物公園フジサキの杜)