フォトエッセイ 猫に呼ばれて世界の街へ【第22回】ピピ島再訪、海と猫に癒されて(タイ)

8年ぶりに訪れたタイ・ピピ島。前回はどんよりした曇り空だったので、今度こそ青空が広がるピピ島を満喫したい! そんな思いを胸に、リベンジの旅に出ました。

ピピ島へはプーケットからフェリーで向かいました。船内には、持ち込んだスピーカーで音楽を流してノリノリの人たちもいて、「休暇を楽しむぞ!」という熱気が渦巻いていました。
久しぶりに降り立ったピピ島は、以前よりもお店や宿泊施設が増えて、さらに賑やかになっていました。そして、エメラルドグリーンの美しい海の色を見ただけで、来てよかったと心から思えました。

下の写真は、港の様子です。奥に見える桟橋が大勢の人で溢れ返っているのがわかるでしょうか? 日中は日帰りツアーの船が次々と到着するので、港周辺は大混雑です。ピピ島の人気の高さを改めて実感しました。

島内では、お店などで飼われている猫たちが自由に過ごしていました。人と猫が仲良く過ごす様子があちこちで見られ、猫たちはこの島の日常に自然と溶け込んでいるようでした。

滞在していたホテルにも猫がいて、部屋の目の前の室外機の上でよく寝ていました。ドアを開けて0秒で猫に会えるという、私にとって最高の環境でした。

マッサージ店やスーパーマーケット、お土産屋さんなどの猫と仲良くなるうちに、飼い主さんとの交流も自然と生まれました。特にマッサージ店のお姉さんとは、店から離れた場所で会っても挨拶を交わす仲になり、ついに営業時間外でも猫に会わせてくれるようになりました。

昼間の猫たちは思い思いの場所で寝ていることが多いのですが、その寝場所がなかなか個性的でした。
ずは、プールサイドでお客さん以上にくつろぐ猫。まるで、リゾート地での過ごし方のお手本を見せてくれているようでした。

ペットボトルの上で寝ている猫もいました。ゴツゴツして寝心地が悪そうに思えましたが、熟睡している様子を見ると、むしろ落ち着く場所なのかもしれません。

一番印象に残ったのが、マネキンの足を枕にして眠る猫です。なんともシュールな光景でしたが、とても幸せそうな寝顔でした。

夕方になると、昼間じっとしていた猫たちが少しずつ活動を始めます。

サンセットを楽しんだ後は、島が一番活気にあふれる夜がやってきます。カラフルな照明が道を照らし、ビーチではファイヤーショーが開催され、音楽と歓声が響いていました。

一転して、夜明け前後の数時間だけ静寂が訪れます。夜の熱気が嘘のように消え、潮騒だけが響いていました。そんな中、猫たちはゆったりと過ごしていました。

レオナルド・ディカプリオ主演の映画『ザ・ビーチ』の舞台となった「マヤベイ(マヤ湾)」も外せません。岩山に囲まれたダイナミックな風景は、秘境感たっぷりです。透明度の高い海でシュノーケルも楽しみ、気分転換になりました。

ピピ島リベンジ旅は、おおむね天気に恵まれて満喫することができました。8年前とは変わったところもありましたが、変わらず美しい海と自由気ままに過ごす猫たちに出会えて、島での時間を穏やかな気持ちで過ごすことができました。

【文・写真】
町田奈穂(まちだ・なほ)
猫写真家。水中写真家・鍵井靖章氏との出会いをきっかけにカメラを始める。「猫×彩×旅」をテーマに、世界中を旅しながら各地で出会った猫たちを撮影。これまでに35ヶ国以上を訪れ、2023年には念願の世界一周を果たす。2023年、2024年に富士フォトギャラリー銀座にて個展を開催。その他企画展やSNS等を通じて作品を発表している。
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