第12回で紹介したヴェネツィアから電車を乗り継ぎ、途中ピサに立ち寄りながらチンクエ・テッレを目指すことにしました。斜塔が圧倒的に有名なピサですが、それだけではありません。キース・ヘリングの壁画やオシャレな繁華街、川沿いの美しい街並み、そのどれもに心奪われる素敵な街でした。
地中海に面した色とりどりの村
ピサから1時間半ほど電車に乗ると、イタリア北西部の地中海に面したチンクエ・テッレに辿り着きます(もちろん、遅延しなければの話です)。イタリア語でCinqueは5つ、Terreは土地という意味で、チンクエ・テッレ(Cinque Terre)はその名の通り、5つの村の総称です。断崖絶壁の海岸線に色とりどりの家が立ち並ぶ、世界遺産にも登録されている村々からは、独特の魅力が感じられました。
チンクエ・テッレの美しい景色を目当てに、多くの観光客が訪れます。お土産屋さんやカフェが並んでいる通りは大混雑で、ジェラート屋さんには行列ができていました。思わず「休日の竹下通り(原宿)みたい」と呟いてしまいました。
そんな喧騒の中でも目を引くのが、猫たちの姿でした。ピザ屋さんの猫は、店にお客さんが増えてくると、外に置かれていた船の下へと移動していきました。落ち着けるお気に入りの場所のようです。
一方、お土産屋さんの猫は、お客さんがいてもお構いなしで、商品の上でのんびり寝ていました。その堂々とした姿には、なんともいえない風格が漂っています。
上から見下ろす猫の姿
ビューポイントに行くには、徒歩で急斜面や階段を上る必要があります。途中で猫の応援に力をもらいながら頑張って上ると、海と村が一体となったような美しい景色が広がります。
美しい景色に心を奪われつつ、チンクエ・テッレの地形を活かした猫の写真を撮りたいと思い、上から見下ろす形で写真を撮影しました。
屋根にいる猫も見ることができました。人は道を通行しなければなりませんが、猫にとっては屋根も立派な通り道です。しっぽを上げてご機嫌に歩くその姿に心が和みました。
【文・写真】
町田奈穂(まちだ・なほ)
埼玉県出身。世界中を旅しながら、地域の猫を撮影している。猫の表情や仕草、猫が暮らす環境の色と光に重点を置いた写真が特徴。2023年に世界一周旅行を達成し、初の個展を開催。その他、企業カレンダーやグループ展など精力的に活動中。
Instagram:cat_serenade
X(旧Twitter):naho_umineko
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