フォトエッセイ 猫に呼ばれて世界の街へ【第38回】旅先でつながるご縁

この連載が始まったのは2023年9月です。世界一周旅行から帰国したばかりの頃でした。あれからまもなく3年になります。これまで、世界各地で出会った猫たちや、その土地での出来事を紹介してきました。節目を迎える今回は、旅の中で感じる「ご縁」について綴りたいと思います。

スペインにて(2023年)

旅先で、私はいつも猫を探しています。

街を歩いているときはもちろん、電車やバスなどで移動しているときも、無意識に窓の外に目を向けています。そして、意外と猫は見つかるものです。ほんの一瞬見かけただけなのに、気になってその場所まで引き返すこともあります。せっかく移動したのに戻るなんて無駄かもしれませんが、予定をきっちりと決めずに旅をする私にとって、そうした寄り道も旅の醍醐味だと思っています。

イギリスの車窓から(2023年)

もちろん、猫だけを追いかけて歩いているわけではありません。まずは「歩いてみたい」と思える場所を探します。美しい光が差し込む路地、心惹かれる色彩、歴史を感じる建物、どこか心地よい空気が流れる街並み。そんな場所を歩いていると、不意に猫が姿を見せてくれることがあります。

ギリシャにて(2019年)

一方で、「今日はここではない」と感じる日もあります。明確な理由はありませんが、そんなときは無理に粘らず、思い切って別の場所へ向かいます。すると、その先で思いがけない出会いが待っていることがあります。旅では思いどおりに進まないことも少なくありませんが、振り返ると予定外の出来事こそが新たな出会いにつながっていることも多いです。

フランスにて(2024年)

毎回順調に猫と出会えているように見えるかもしれませんが、一日中歩いてもほとんど会えない日もあります。反対に、食事をとるのも忘れるほど夢中になって写真を撮り続ける日もあります。

タイにて(2025年)

旅という限られた時間のなかで猫と出会い、その姿を写真に残せることは決して当たり前ではありません。あの日、あの時間に、その道を歩かなければ出会えなかった光景ばかりです。だからこそ、旅先で出会う猫や人、風景、そのすべてを私は「ご縁」だと感じています。

ウズベキスタンにて(2025年)

こうして重ねてきた数々のご縁から生まれた作品を、この夏、富士フイルムフォトサロン(東京・大阪)で開催する写真展「ここにいる」にて展示します。画面越しでは伝わりきらない空気感や、プリントならではの質感を、ぜひ会場でご覧いただければ幸いです。

東京開催の詳細はこちらから
大阪開催の詳細はこちらから

【文・写真】
町田奈穂(まちだ・なほ)
猫写真家。水中写真家・鍵井靖章氏との出会いをきっかけにカメラを始める。「猫×彩×旅」をテーマに、世界中を旅しながら各地で出会った猫たちを撮影。これまでに35ヶ国以上を訪れ、2023年には念願の世界一周を果たす。2023年、2024年に富士フォトギャラリー銀座にて個展を開催。その他企画展やSNS等を通じて作品を発表している。
Instagram:cat_serenade
X:naho_umineko

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