目指せ脱初心者! アクアリウム初心者を悩ませる、水質管理の基本

アクアリウムの水質管理とは?

アクアリウムで観賞魚やエビ、水草を育てるうえで大切なことの一つに「水質管理」があります。

水槽は自然の川や湖とは異なり、限られた水量の中いきものが暮らしています。
そのため、一度水質が悪化すると水槽内のいきものにダメージを与えることとなり、最悪の場合、命を落とすこともあります。

とくに初心者が注意すべき点は、水槽の見た目が綺麗でも「安全」とは限らないことです。亜硝酸や硝酸などの有害物質は目に見えませんが、水槽内に溜まってしまうといきものにとって致命的な問題になります。
したがって、水を浄化するろ過システムから日々の水質管理の方法を理解し、適切に飼育をすることが、アクアリウムを長く楽しむための第一歩となります。

画像1.水草が豊富な水槽

水質悪化の原因について

水質が悪化する原因はさまざまですが、大きく分けると以下のようなものがあります。

餌の与えすぎ

観賞魚が食べきれなかった餌は水槽の底に沈殿したり、水に溶けたりしてしまいます。また、餌をたくさん与えると排泄物も多くなるため、水質が悪化しやすくなります。

画像2.コリドラス・ジュリー

死骸

いきものが水槽内で死んでしまったり、水草が枯れて溶けてしまったりすると、水を汚す原因となります。

ろ過不足

水槽には水を循環させる「ろ過フィルター」が必要ですが、その機能が不十分だと亜硝酸や硝酸などの有害物が分解されず、水質が悪化してしまいます。

水換え不足

水槽の底に溜まった老廃物などが原因で水が汚れて古くなり、pHが低下することもあります。

過密飼育

水槽のサイズやろ過フィルターの能力に対していきものを入れすぎると、酸素不足や排泄物の増加により水質が悪化しやすくなります。

これらの要因は初心者が陥りやすいため、あらかじめ意識しておくことが大切です。

画像3.ゴールデンハニーグラミー

水質悪化の対処法について

水質悪化を防ぎ、いきものに快適な環境を提供するためには、以下の方法が効果的です。

餌の量を適切にする

観賞魚が数分間で食べきれる量を目安にし、食べ残しが出ないようにしましょう。

ろ過フィルターを使用する

水槽の容量よりワンランク上のろ過フィルターを使うことで、浄化能力が高い水槽システムとなり、初心者の方でも綺麗な水槽が管理しやすくなります。

定期的な水換え

一般的には1〜2週間に1回、全体の3分の1ほどを換水するようにします。
水を抜く場合は、底床クリーナーを使用しながら排水するか、汚れが蓄積しやすい水槽の底付近から排水をしましょう。

画像4.コリドラス・アエネウス

新しく注ぐ水は、水道水をカルキ抜き剤で中和し、水温を25度程度に調整してから注ぐようにしましょう。
なお、国内の水道水には地域差があります。たとえば、埼玉県や千葉県などはミネラル分が豊富に含まれている硬水が出てくる場合があるため、硬度を調整した軟水にした水を使うか、硬度が高くても育成可能な観賞魚や水草を選定するようにしましょう。

過密飼育を避ける

水槽の大きさに無理のない匹数、サイズの観賞魚を飼育するようにしましょう。
スタンダードの60センチメートル水槽の場合、5センチメートル前後の観賞魚なら30匹前後が目安です。

画像5.60センチ水槽のレイアウト例

水質チェック

水質試薬や試験紙を使って、亜硝酸、硝酸、pHの値を確認しましょう。
特に、立ち上げ初期はこまめにチェックすることをおすすめします。

これらを習慣化することで、水槽内の環境は安定し、観賞魚が元気に泳ぐ姿を楽しめます。

おわりに

アクアリウムは水質管理がとても重要です。餌の与え方や水換え、ろ過の仕組みを理解していれば、初心者でも失敗を減らして長く美しい水槽を維持することができます。
私自身、長年アクアリウムを管理してきましたが「水槽に愛情を注ぎ、無理をせずに少しずつ学びながら環境を整えること」が大切だと感じています。

水質管理をしっかり行えば、観賞魚やエビ、水草が元気に暮らす姿を眺める喜びが長く続きます。
ぜひ今日から、今回お伝えした水質管理を意識して、アクアリウムライフを楽しんでみてください。

【執筆者】
飯塚 祥(いいづか・しょう)
1992年山梨県生まれ、東京コミュニケーションアート専門学校・水族館アクアリウム科修了。その後、別の水槽レンタル会社に約9年勤務し、2022年に株式会社アクアレンタリウムに就職。水槽メンテナンス部長として熱帯魚・海水魚のレンタル・メンテナンス業務を行う。

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