沖縄は街中にも緑が多く、南国感たっぷりで訪れるたびに心地よい気持ちにさせてくれます。様々な植物が所狭しと生えていて、そこに集まるいきものも多く見られます。中でも、ほとんどの人が出会って驚くのが、今回紹介する「オキナワキノボリトカゲ」です。緑味を帯びた、全長20~30センチメートルの大きくて美しいトカゲです。

沖縄の森に潜む忍者
このトカゲは、森に溶け込むとまるで忍者のような動きを見せてくれます。すぐ近くにいても気づかないくらい、木々に擬態しています。運よく目にしたとしても、捕まえようとするとすぐに木の裏側に移動されます。それを追って裏側に回ってもすぐまた裏側に行かれてしまい、追いかけっこになります。らせん状に木の上の方へ移動を繰り返すため、手に負えません。

しかし、木から別の木に移動するときに地面に降りることがあります。めったに見ることはできませんが、その姿はとても見栄えが良いです。まるで、昔流行したエリマキトカゲを彷彿させてくれるかっこよさがあります。
ただし、動きは単調で一直線に逃げるだけなので、今のところブームは来そうにありません。別の木にたどり着くと、いつものようにらせん状に上を目指します。
オスはなわばりを持ちます。他のオスが侵入すると、喉のオレンジ色の袋を誇示したり、腕立て伏せのような行動を見せたりします。それでも怯まない場合は、尾の根元に噛み付いたりする喧嘩っ早さを持っています。長時間観察していても飽きさせない行動をしてくれます。

しかし、そんなトカゲにも弱点があります。昼行性のため、夜間は眠ります。木の上で寝ていると寝込みを襲われる可能性が高いため、機転を利かせて葉の先端で寝ている姿を見かけます。これは、敵が木を伝って葉に来た時の振動で目を覚まして逃げる、という戦略です。念には念を入れながら、巧みに生き残ってきたすべの一つです。寝ているところを見つけても、そっとしておいてあげてくださいね。

【文・写真】
関 慎太郎(せき・しんたろう)
1972年兵庫県生まれ。自然写真家、びわこベース代表、日本両棲類研究所展示飼育部長。身近な生きものの生態写真撮影がライフワーク。滋賀県や京都府内の水族館立ち上げに関わる。『日本のいきものビジュアルガイド はっけん!』シリーズ(田んぼのいきもの、カナヘビ、小型サンショウウオ、ニホンイシガメ、ニホンヤモリ、トカゲ、イモリ、ニホンアマガエル、オタマジャクシ、オオサンショウウオ)、『野外観察のための日本産両生類図鑑 第3版』『同 爬虫類図鑑 第3版』、『世界 温帯域の淡水魚図鑑』、『日本産 淡水性・汽水性エビ・カニ図鑑』(いずれも緑書房)、『うまれたよ! イモリ』(岩崎書店)、『日本サンショウウオ探検記 減り続ければいなくなる!?』(少年写真新聞社)など著書多数。
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