前編では、薬膳は中国伝統医学(中医学)の理論をもとに食材を選んで調理される食事であること、中医学では「中庸(ちゅうよう:過不足がなく、バランスの取れた状態)」を大切にし、自然界ともバランスを取ることが必要であるいうことを紹介しました。
後編では、春という季節に注目して、中医学・薬膳の視点から体調管理について考えてみます。

春はストレスに備える
中医学的に、春は「立春」から始まり、「立夏」の前までと考えます。だいたい2月頭から5月頭ごろまでの期間です。
春の始まりである「立春」は、概ね2月3~4日なので(年によって前後します)、暦の上では春でも非常に寒い時期になります。
そのため、春の初めの頃は、冬に引き続き寒さ対策が大切です。
初春の寒さ対策について、中医学では「春捂(しゅんご)」という養生を考えます。「冬から春に変わるとき(特に初春)はまだ寒いので、たまに暖かい日があっても、いきなり薄着にならず、寒さから体を守ろう」ということを意味します。「捂」は、「封じ込める」といった意味だそうです。適度に服を着て、寒さが身体に入ってくるのをブロックし、温かさを保持しておくことをすすめています。
薬膳的にも、春先は身体を温める食材を食べたい時期になります。身体を温める食材は、前回紹介したので、そちらを参考にしてみてください。
立春の頃は寒いですが、3月、4月になるにつれて次第に暖かくなり、冬ごもりしていたいきものたちも目覚めてきます。人やペットもこの季節の流れの中にいるので、中医学では、冬に蓄えた栄養などをもとにして、春から元気に活動していくと良いと考えます。なので、少し早く起きたり、ゆったりと散歩したりすると良い、といわれています(もちろん、寒さに気を付けて無理のない範囲を心掛けましょう)。
この「ゆったりと」も大事なポイントです。なぜなら、中医学的に春は、特にストレスに気をつけたい季節であるとも考えられているからです。春は、新学期や新生活などの環境の変化が多く、緊張やストレスがかかりやすいということから考えても、なんとなくイメージしやすいのではないでしょうか。そのため、ゆったりと散歩したり、ゆったりとした服を着たりと、のびのびと過ごすと良いと考えられています。人がストレス状態になっていると、敏感なペット達はその影響でストレスを感じる場合もあります。
このようなことから、薬膳的にも気分を和らげてくれるような食材がおすすめできます。
春におすすめできる食材
※今回取り上げる食材は、必ず火を通し、食べやすい大きさに切るか、ペーストにして、適量をいつものフードにトッピングしてみてください
あさり
春が旬のあさり。味噌汁などで日本人になじみの食材ですが、薬膳的には気分を落ち着けてくれると考えられています。

トウミョウ
トウミョウもおすすめです。スーパーマーケットでは1年を通してよく見かけますが、意外にも旬は春だそうです。

春菊
人もペットも好みが分かれると思いますが、春菊も気分を和らげてくれる食材と考えられています。

キャベツ・カリフラワー
ストレスがかかったりイライラしていたりすると胃腸の調子も悪くなったことはないでしょうか? 中医学からみても、ストレスと胃腸の健康にはつながりがあると考えられています。そのため、ストレス対策などに加えて、春は胃腸のケアもすると良いでしょう。
代表的な食材は、キャベツやカリフラワーなどです。薬膳的に、キャベツは胃を健康にしてくれると考えられています。春キャベツの旬は3月~5月中旬頃なので、時期的にも取り入れやすいと思います。カリフラワーは胃腸を元気にし、食欲を促してくれると考えられています。

おわりに
後編では、春に着目しました。草木が生えて花が咲き始め、新たな気持ちで迎える春は、その分ストレスとうまく付き合いたい季節でもあります。
犬や猫も、人と同じようにストレスを感じることもあるでしょう。
中医学や薬膳も活用して、ぜひうららかな春を過ごしてください。
【執筆者】
イスクラ産業株式会社 ペット事業部
中医学に基づいた人用の漢方・生薬製剤などの医薬品や健康食品をはじめ、ペット用サプリメントなどの製造・販売を行う製薬メーカー。日本ペット中医学研究会|JPCM事務局。
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