教えて!飼育員さん:ツシマヤマネコのはなし

日本で暮らす希少な野生動物(よこはま動物園ズーラシア)

ツシマヤマネコはこんな生き物

ツシマヤマネコ(ベンガルヤマネコ属ベンガルヤマネコ亜種・学名Prionailurus bengalensis euptilurus)は日本の長崎県対馬にのみに生息している野生のネコ科動物です。大きさはイエネコと同じくらいで、体重は3~5キログラムほど。ネズミやモグラ、鳥、カエル、トカゲ、バッタなど、さまざまなものを食べながら暮らしています。単独で生活し、主に日の出や日没前後の数時間に活動する、薄明薄暮性です。

生息数は100頭弱と推定されており、絶滅が心配されている動物です。生息を脅かす要因は、生息環境の悪化、交通事故、錯誤捕獲(シカやイノシシ用の罠に誤ってひっかかってしまうこと)、イエネコからの感染症、イヌによる咬傷などがあげられます。1971年に国の天然記念物に、1994年には国内希少野生動植物種に指定され、保護活動が進められています。

※現地の保護状況については、環境省 九州地方環境事務所管轄の対馬野生生物保護センター公式サイトをご確認ください

よこはま動物園ズーラシアでは現在、こう(オス 、2019年4月15日生まれ 4歳)、マミ(メス 、2015年4月13日生まれ 8歳)、ゆり(メス 、2018年5月4日生まれ 5 歳)の3頭を飼育しており、そのうちの1頭(こう)を展示しています。

※情報は2024年3月時点のものです

ツシマヤマネコの日常

朝一番に健康チェックを行います。9時30分の開園に合わせ展示場へ移動してもらい、餌を与えます。10時30分ごろ寝室の清掃に入り、その後に夜の給餌の準備をします。11時30分になると、飼育員のとっておきタイムでガイドを行いながら、来園者にツシマヤマネコの生態や魅力を伝えています(飼育員のとっておきタイムは季節によって内容が変わるので、ぜひ公式サイトをご確認ください!)。16時にはまず「マミ」と「ゆり」の、16時30分の閉園後に、寝室に移動した「こう」の給餌タイムになります。17時の展示場清掃後に、餌をすべて食べているか等、健康状態の最終確認を行い、飼育員は退舎します。空いた時間に夜間の行動観察・記録等を行ったり、来園者へ解説(ガイド)を行っています。

飼育員さんの小話

イエネコに似ているため、よく「なつきますか?」と聞かれますが、なつきません! 毎日餌をあげていても、近づくとシャーッと威嚇するか逃げてしまいます。人工哺育の個体(人によって育てられた個体)も成長すると共に人と距離を置くようになるようです。

飼育員さんが教える見どころ

前述の通り「イエネコにそっくり」と言われますが、イエネコとは異なるいくつかの特徴があります。額の縦じま模様、太くて長いしっぽ、体表面のはっきりしない斑点模様、胴長短足、耳の先端が丸いことなどです。イエネコと見分けるうえで最もわかりやすいのは、耳の後ろに白い斑点があることです。これはイエネコにはありません。

また、イエネコは基本的に水が苦手ですが、ツシマヤマネコは水を怖がらず、夏場は水浴びをする姿をよく見かけます。

【文・写真】
よこはま動物園ズーラシア
〒241-0001 横浜市旭区上白根町1175-1
TEL 045-959-1000
公式サイト:
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