今回は「Beautiful World：日本の水族館」の第７弾！ 大阪府大阪市にある海遊館です。
海遊館のコンセプトは「すべてのものは、つながっている」。「太平洋」水槽にある大水槽を中心として、さまざまな海の環境や、そこで暮らす生き物を伝える展示が見どころとなります。
「日本の森」のコツメカワウソ
入館後、カラフルな熱帯魚が泳ぐトンネル水槽を通り、エスカレーターで８階まで登ると「日本の森」というエリアが広がっています。そこで最初にお迎えしてくれるのは「コツメカワウソ」です。
私が訪れたときには、ちょうど餌やりをしていました。餌やりの時間は、コツメカワウソの健康状態を確認するための貴重な時間でもあるので、歯や四肢に問題がないかチェックをしながら餌をあげていました。
愛らしい姿のコツメカワウソですが、実は絶滅の危機に瀕しています。おもな原因として考えられているのは、開発などにより熱帯の生息地が失われたことや、愛玩動物として密猟・密輸されたことなどです。
コツメカワウソのために今すぐ私たちができることとして、たんに「可愛い生き物」という認識で終わらせず、彼らが置かれている環境を知るところから始めてみてはいかがでしょう。
巨大魚ピラルクの棲む「エクアドル熱帯雨林」
順路を進んでいき、次に目を引かれたのが「エクアドル熱帯雨林」水槽の巨大魚ピラルクです。
海遊館にいる個体は1.5～2メートルほどとなります。蛇や龍のようにも見える巨体がゆっくりと泳ぐ姿は迫力満点です。
魚類の多くは、ヒレ呼吸により酸素を体内に取り込みますが、ピラルクは水面から口を出して酸素を取り込む「空気呼吸」を行うのが特徴です。また、水面に浮かんだ魚などを食べるときは空気ごと吸い込むので、破裂音のような音が響きわたります。海遊館を訪れた際はぜひチェックしてみてください。
「タスマン海」を猛スピードで泳ぐカマイルカ
海遊館にはいわゆるイルカショーのような、イルカのダイナミックなジャンプが見られるスタジアムはありません。しかし「タスマン海」水槽では決してショーに見劣ることのない、とても速いスピードで水槽を泳ぐカマイルカを観察することができます。
こちらは、勢いよく泳いでいるカマイルカが、目の前で急カーブをしたときの写真です。写真にも写っている白泡が、その迫力を表しています。
海遊館の大水槽「太平洋」
水深約９メートル、水量5,400トンにもなる「太平洋」水槽は、360度 さまざまな方向から見ることができます。６階から４階にかけての表層、中層、下層で、観察できる生き物が変わるのも面白い特徴です。
例えば同じジンベエザメでも、上から見るか、下から見るか、真横から見るのかでまったく表情が異なります。目線を合わせて見ることでより迫力を感じたり、下から見ることで引っ付いているコバンザメを確認できたり。さまざまな視点から観察することの大切さを学べ、新たな発見が味わえる、筆者の大好きな水槽です。
幻想的な「海月銀河」
「太平洋」水槽を抜けてエスカレーターを下ると、見えてきたのは「海月銀河」です。薄暗いフロアの中で水槽がライトアップされている幻想的な空間となっています。
水槽を覗くと、光に照らされた餌がスターダストのようにきらめき、クラゲが宇宙を漂っているようにも見えます。ずっと眺めていたくなる癒しの空間でした。
海遊館
https://www.kaiyukan.com/index.html
さいごに
「Beautiful World：日本の水族館」の連載は、今回で一旦の終了となります。
筆者は幼稚園の遠足で海遊館を訪れたときに、雄大に泳ぐジンベエザメの姿に魅せられて水族館や海の生き物が好きになりました。今では、おもに水中のクジラやイルカを撮影する水中写真家として活動しています。
これからも大好きな水中の世界を撮り続け、多くの人の心を動かせるように活動していきますので、よろしくお願いします。
【文・写真】
あき
1996年大阪府生まれ、東京都在住。水族館や水中、音楽ライブの撮影のほか、雑誌、Webメディアへの寄稿などを行う。2017年、水族館の生きものを綺麗に撮影したいと思い、写真を始める。2023年、国際フォトコンテスト8TH 35AWARDS「UNDERWATER PHOTOGRAPHY」で100Best photo選出、Top35 photographers選出。ほか『幻想的な水族館の世界カレンダー2024』（緑書房）など。
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