きらめく小さな魚たち【第10回】映える水槽に欠かせない水草 その4

今回もアクアリウムやアクアテラリウムによく用いられる水草を紹介します。

オーストラリアン・クローバー Hydrocotyle tripartita

「オーストラリアンノチドメ」という商品名でも販売されています。葉に切れ込みがあり、ヒドロコティレ属のなかでも小型です。基本的に水上葉の状態で販売されています。水中葉、水上葉ともに葉の形状は変わることがなく、1cmに満たない小型の葉で密集してコロニーをつくります。アクアリウムでは前景用として活用され、テラリウムやビバリウムでは水上型で育てられます。
分布:オーストラリア/水温:25℃/育てやすさ:やさしい/用途:テラリウム、アクアリウム、アクアテラリウム、ビバリウム

写真:オーストラリアン・クローバー

ウォーターマッシュルーム Hydrocotyle verticillata

和名「ウチワゼニグサ」、英名「ペニーウォート」の水生植物。コイン型の面白い葉を展開します。古くからテラリウムやアクアテラリウムに使われてきた仲間で、基本的には水上葉で楽しみます。
分布:北米、南米/水温:25℃/育てやすさ:やや難しい/用途:テラリウム、アクアリウム、アクアテラリウム

写真:ウォーターマッシュルーム

サルビニア・ナタンス Salvinia natans

日本を代表する浮き草で、葉が山椒の葉に似ることから「サンショウモ」の和名がつけられました。見た目からは想像できないシダ植物であり、秋口には黒い根に見える葉の基部から小さな胞子をつけます。基本的には光さえ十分な環境であれば育てやすいですが、低光量下では全体が萎縮して成長が止まってしまいます。分岐繁殖(葉の基部から新芽を出す)で増えていきます。
分布:日本全土、アジア、ヨーロッパ/水温:20~25℃/育てやすさ:やさしい/用途:アクアリウム、アクアテラリウム

写真:サルビニア・ナタンス

フィランサス・フルイタンス Phyllanthus fluitans

アマゾン河流域に分布が広がる、南米大陸を代表する浮き草の仲間です。浮力の強い丸い葉がいくつも重なり、赤い根と赤い葉が大きな特徴です。強光量で育成しないと、葉が小さくなってしまうため、光源には注意が必要です。
分布:南米/水温:20~27℃/育てやすさ:やさしい/用途:アクアリウム、アクアテラリウム

写真:フィランサス・フルイタンス

アマゾンフロッグビット Limnobium laevigatum

「アマゾントチカガミ」の和名があり、葉裏にスポンジ状の膨らみをもつ浮き草です。葉は心臓型をしており、古くからアクアリウムで人気があります。繁殖力が旺盛で、1株から多くの小株を出して容易に増えます。水中に伸びる長い根は水質浄化作用を有します。
分布:南米/水温:25℃/育てやすさ:やさしい/用途:アクアリウム、アクアテラリウム

写真:アマゾンフロッグビット

【文・写真】
佐々木浩之(ささき・ひろゆき)
1973年生まれ。水辺の生物をメインテーマとしている写真家。飼育下、野生下にかかわらず、好奇心の赴くままに生きものの面白さや美しさを探求している。なかでもアクアリウムの写真に定評があり、鑑賞魚や水草などを状態よく育て、生きものが最も美しい、躍動感あふれる一瞬をとらえる撮影法は高い評価を得ている。幼少期から熱帯魚などに親しんできたベテラン飼育者でもあり、実践に基づいた飼育情報や生態写真を雑誌・書籍等で発表している。『エアプランツ アレンジ&ティランジア図鑑』『苔ボトル 育てる楽しむ癒しのコケ図鑑』(電波社)、『育てる楽しむ癒しの苔ボトル』『苔ボトル楽しく育てる癒しのコケ図鑑』『珍奇植物 ビザールプランツ完全図鑑』『はじめてのアクアリウム 熱帯魚の育て方と水草のレイアウト』『屋外で強く育てる! メダカの飼い方&原色図鑑』『ベタの飼い方&原色図鑑』(コスミック出版)、『部屋で楽しむテラリウム』(緑書房)など著書多数。