きらめく小さな魚たち【第9回】映える水槽に欠かせない水草 その3

今回もアクアリウムには欠かせない水草の代表的なものを紹介していきます。

ヘアーグラス Eleocharis acicularis

カヤツリグサ科のエレオカリス属の水生植物で、水田域や湖沼に自生します。針のような細い葉が特徴で「マツバイ」の和名をもちます。育成では、ソイル(主に水草育成用に使われる、土を粒状に焼き固めた底床材)を好み、地中でランナー(ツルのように細く伸びる茎)をいくつも伸ばして、芝生のような見事な景観をつくってくれます。成長により葉の丈が10cmを超えることがありますので、適度なトリミングが必要です。水際であれば水上型でも育成できます。

分布:日本全土、東南アジア、インド/水温:20~28℃/育てやすさ:やさしい/用途:アクアリウム、アクアテラリウム

写真:ヘアーグラス

ピグミーアコルス Acorus gramineus var. pusillus

サトイモ科の渓流植物です。山野草の世界ではグランドカバーに使われることも多く、庭植物としても人気があります。日本の渓流域では、流れ近くの岩肌に着生しながら、細長い葉を密につけて自生します。葉の長さは15cmほどで、古くからアクアリウムにも多用されてきました。沈水葉を展開しますが、葉の長さは5cmほどに小型化してしまいます。

分布:日本全土、中国、ベトナム/水温:20~28℃/育てやすさ:やさしい/用途:アクアリウム、テラリウム、アクアテラリウム

写真:ピグミーアコルス

グロッソスティグマ・エラティノイデス Glossostigma elatinoides

「ハビコリハコベ」の和名がつく小型の水生植物です。アクアリウムの世界では、群生美が魅力の前景水草として古くから人気があります。基本的には、茎が立ち上がりながら成長する有茎草の仲間ですが、光量が強い環境下では這うように成長します。繁茂すると、行き場を失って互いに重なるように成長してしまうので、こまめなトリミングが必要です。

分布:オーストラリア/水温:25℃/育てやすさ:やや難しい/用途:アクアリウム、アクアテラリウム

写真:グロッソスティグマ・エラティノイデス

キューバパールグラス Hemianthus callitrichoides

水上葉、水中葉ともに非常にやわらかい丸葉をもつ水生植物です。鮮やかな緑色の草姿が目を引く水草として、レイアウトでも人気があります。水辺での植栽でも育成が可能で、湿度の高いテラリウムでも匍匐して育てることができます。水中葉は、上に向かって伸びるので、水深の低い場所ではこまめなトリミングで管理します。

分布:中米/水温:25℃/育てやすさ:やさしい/用途:アクアリウム、テラリウム、アクアテラリウム、ビバリウム

写真:キューバパールグラス

ロタラ・インディカ Rotala rotundifolia ‘Indica’

「キカシグサ」の和名をもつ有茎水草で、日本では水田雑草として知られます。アクアリウムの世界では、主に東南アジアの水草ファームで生産された草体が販売されています。光量によって葉の色合いが変化し、強い光量下で育てることで赤みを帯びて成長します。非常に丈夫な種類で、水上型でも節間から脇芽を出して繁茂します。

分布:日本全土、東南アジア/水温:25℃/育てやすさ:やさしい/用途:アクアリウム、テラリウム、アクアテラリウム

写真:ロタラ・インディカ

【文・写真】
佐々木浩之(ささき・ひろゆき)
1973年生まれ。水辺の生物をメインテーマとしている写真家。飼育下、野生下にかかわらず、好奇心の赴くままに生きものの面白さや美しさを探求している。なかでもアクアリウムの写真に定評があり、鑑賞魚や水草などを状態よく育て、生きものが最も美しい、躍動感あふれる一瞬をとらえる撮影法は高い評価を得ている。幼少期から熱帯魚などに親しんできたベテラン飼育者でもあり、実践に基づいた飼育情報や生態写真を雑誌・書籍等で発表している。『エアプランツ アレンジ&ティランジア図鑑』『苔ボトル 育てる楽しむ癒しのコケ図鑑』(電波社)、『育てる楽しむ癒しの苔ボトル』『苔ボトル楽しく育てる癒しのコケ図鑑』『珍奇植物 ビザールプランツ完全図鑑』『はじめてのアクアリウム 熱帯魚の育て方と水草のレイアウト』『屋外で強く育てる! メダカの飼い方&原色図鑑』『ベタの飼い方&原色図鑑』(コスミック出版)、『部屋で楽しむテラリウム』(緑書房)など著書多数。