新大阪駅から京都に向かう途中、猫好きならば高槻駅に寄ってみてください。駅から北へ徒歩7分。第1、第2の鳥居をくぐり長い坂道を上った先、上宮天満宮には猫をはじめ、小動物を守護する神様が祀られています。
ペットのための神社
世界初といわれる竹の本殿を裏手に回ると、小さな祠が現れます。「家族」と題された3匹の猫たちがお迎えしてくれるこの祠は、守護天神とされています。本殿に祀られる三神にちなんでいるのでしょうか。
巷では猫神社といわれることが多いですが、猫をはじめ、犬、小鳥など、ペットとして人の生活に深くかかわってきた小動物全般を守ってくださる神社とされています。小動物を慈しみ、その気持ちが広く普及して、よい環境を作っていきたいという願いが込められているそうです。
猫伝承が伝わる地ではないとのことですが、現在のご住職の兄弟が猫好きだったり、少なからず建立に影響があったようです。
社の中にはペットの幸せを願う絵馬がひしめき合い、この地に訪れた同胞たちをお迎えしてくれています。
獣医学の神様?
天神様である菅原道真公は学問の神様ですから、獣医さんや動物のお仕事を夢見る学生にはたくさんご利益が得られそうですね。北野天満宮にお詣りついでに、こちらのてんじんさんにも立ち寄ってみてはいかがですか?
上宮天満宮
全国天神社の中で2番目の古社とされている。正暦四年(993年)、菅原為理が太宰府へ赴いた。御霊代を報じた帰り道、領主である近藤氏の城館から出立する際、輿が動かなくなってしまった。これは先祖と共にとどまりたい霊意として感じ取り、日神山上に天満宮本殿を建立し、三神(武日照命、菅原道真命、野見宿禰命)を併祭したことが始まりとされている。
天正年間、豊臣秀吉が明智勢を山崎天王山にて討った際、上宮天満宮の参道に本陣を敷いていた。その戦勝に感謝し、のちに社殿を修造した。これは平成8年まで現存していたが、事故により失われてしまった。
住所:大阪府高槻市天神町1-15-5
[参考文献]
上宮天満宮パンフレット:『花、竹、杜のてんじんさん』
【執筆】
岩崎永治(いわざき・えいじ)
1983年群馬県生まれ。博士(獣医学)、一般社団法人日本ペット栄養学会代議員。日本ペットフード株式会社研究開発第2部研究学術課所属。同社に就職後、イリノイ大学アニマルサイエンス学科へ2度にわたって留学、日本獣医生命科学大学大学院研究生を経て博士号を取得。専門は猫の栄養学。「かわいいだけじゃない猫」を伝えることを信条に掲げ、日本猫のルーツを探求している。〈和猫研究所〉を立ち上げ、SNSなどで各地の猫にまつわる情報を発信している。著書に『和猫のあしあと 東京の猫伝説をたどる』(緑書房)、『猫はなぜごはんに飽きるのか? 猫ごはん博士が教える「おいしさ」の秘密』(集英社)。2023年7月に「和猫研究所~獣医学博士による和猫の食・住・歴史の情報サイト~」を開設。
X:@Jpn_Cat_Lab
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