ポルトガル中部地方で大西洋に面した都市であるアヴェイロ。リスボンのオリエンテ駅からCP=Comboios de Portugal(鉄道)に乗って2時間30分ほどで到着しました。天井が高い近代的な駅の改札口を出ると、青い空にオレンジの屋根と白壁に装飾されている美しいアズレージョ(azulejo=タイル)の旧駅舎が迎え入れてくれました。

この都市は、ポルトガルの中でも塩の産地として有名です。海藻を運んだ小舟・モリセイロ(moliceiro)が運河を行き交い、背後に広がる旧市街、色鮮やかなアールヌーボー建築などが織りなす風景は「ポルトガルのヴェニス」と言われているそうです。
駅前のヴァスコ・ブランコ通りをまっすぐ15分ほど歩くとセントラル運河に出ます。その運河と運河の周りにある旧市街が中心部です。この季節は国内外から集まってくる観光客でとても賑わっていました。

たくさんの人が往来している中で、ご夫婦と一緒に旅を楽しんでいる白い大型犬の姿が目に入りました。ご夫婦と犬は、クルーズを楽しむために乗船入口に来たようでしたが、小型、中型犬のみ乗船可能ということで乗船できませんでした。そんなやり取りを眺めていると「たくさんのモリセイロを背景に、家族写真を撮ってくれないかい?」と声をかけられました。家族撮影が終わると「旧市街をぷらぷらと歩いてくるよ、ありがとう」と、お別れしました。
旧市街はカラフルで小さなお店がたくさん連なっています。お店の外観やディスプレイを見るだけでもワクワクが止まりません。そんな素敵なお店に入ったり出たりを繰り返して15分くらい経ったころ、再び白い大型犬の姿が目に入ってきました。どうやら、奥さんがお買い物をしているお店に犬は同伴ができなかったようです。買い物が終わるまで外で旦那さんと一緒に待っていました。
「またお会いしましたね。お店に一緒に入れなかったのですね。ワンちゃんの名前は? よかったら写真を撮ってもいいですか?」と旦那さんに許可をもらい、「ピンゴ!」と、犬の名前を呼ぶと嬉しそうな笑顔をしてくれました。

そんな素敵な笑顔のピンゴとのお別れを寂しく感じながら路地を歩き進めると、今度はラブラドール・レトリーバーに出会いました。カフェのオーナーさんの犬で、テラスの一番涼しいところに陣取り、知り合いやお客さんが来るのを寝待ちをしているそうです。

日が落ちるまでアヴェイロの旧市街を歩き続けると、次から次へと犬たちに出会う機会がありました。訪れた国によっては犬種の偏りを感じることが多いのですが、アヴヴェイロでは大きさも犬種も様々で、とても新鮮でした。

【写真・文】
蜂巣文香(はちす・あやこ)
写真家。犬、猫、コンパニオンバードなどのペット写真をはじめ、手仕事やライフスタイルなどさまざまな分野で“伝わる”写真を日々撮影している。広告や雑誌、書籍、WEBなど幅広く活躍中。欧米を中心とした海外での撮影経験も豊富。愛犬雑誌「Wan」(緑書房)でもおなじみのカメラマンで、柴犬をモチーフにしたカレンダーシリーズ「しばいぬ(卓上)」「日本の柴犬(壁掛け)」「黒柴(壁掛け)」(緑書房)も毎年好評を博している。
Instagram:dogtionary_hachi
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