フォトエッセイ  犬と人が織りなす文化の香り【第17回】ポルトガル(バルセロス)

バルセロス(Barcelos)は、ポルトのカンパニャン駅から北へ約1時間の地点に位置する町です。この名称はポルトガル語の「雄鶏」を指しています。町を散策していると、色とりどりの模様を持つ雄鶏「ガロ(Galo)」が目に入ります。ガロは幸運の象徴とされ、ポルトガルを代表するシンボルです。

毎週木曜日にはバルセロスの日があり、レプブリカ広場(Campo da República)にて大規模な市場が開かれます。

この日は残念ながら曇り空で、時折小雨が降っていましたが、市内は地元の人々や観光客で賑わっていました。カラフルなショッピングバッグやカートを持ち、新鮮な食材や衣類、生活を彩るお花を購入している人々の姿。そして、マーケットで家族と一緒にいる犬たちの姿は、どの国に行っても楽しみにしている光景の一つです。

バルセロスでは、野菜や果物、生花など日本と同じような品々が手に入ります。ポルトガルらしさを感じるものといえば、ベーカリーやパンでしょうか。Bola de Berlim(ボーラ・デ・ベルリン)というポルトガルの伝統的なカスタードクリームがたっぷり入ったドーナツがあります。パンはどれを食べても美味しいです。日本人の口にも合っているのではないでしょうか。代表的なものには、Carcaça(カルカッサ)という食事パンやBroa de Milho/Broa de Avintes(ブロア)というコーンブレッドがあります。

そして、お土産に欠かせないアイテムである「ガロ」がたくさん並んでいます。一般的にはガロの置物が人気です。コインほどのサイズのミニガロから、存在感のある特大ガロまで、さまざまなバリエーションがこの市場で見つけられます。さらに、置物だけではなく、マグネットやキーホルダーなど、様々なグッズにもガロが使用されています。そのほかにも、ブリキ細工や民族衣装、刺繍が施された「恋人たちのハンカチ」、そして陶器の町ならではの手作り陶器なども目を楽しませてくれます。

ポルトガルでは、10月頃になると街中で焼き栗屋さんを見かけることができます。まだ栗の季節には早い時期でしたが、運良く1軒だけ出店しているのを見つけ、一袋買うことができました。モソモソした食感は素朴で、自然の甘味が口の中に広がりました。
食べ歩きをしていると、2頭のゴールデンレトリバーと飼い主さんに出会いました。ドイツから鉄道を乗り継いでポルトガルの旅に来ていることを話してくれました。続いて、高齢の男性と一緒に買い物に来たヨークシャテリア。そして、チワワやダックス系のミックスといった小型犬たち。マーケット脇にある広めの道に出ると、飼い主を心躍る思いで導くビーグルの姿がありました。

市場を歩いていると、その地域の生活がすぐにわかるのが魅力です。旅の醍醐味ともいえる訪問先の雰囲気がそのまま感じられ、人々と犬たちのありのままの姿を見ることができます。だから、市場巡りは本当に楽しいのです。

【写真・文】
蜂巣文香(はちす・あやこ)
写真家。犬、猫、コンパニオンバードなどのペット写真をはじめ、手仕事やライフスタイルなどさまざまな分野で“伝わる”写真を日々撮影している。広告や雑誌、書籍、WEBなど幅広く活躍中。欧米を中心とした海外での撮影経験も豊富。愛犬雑誌「Wan」(緑書房)でもおなじみのカメラマンで、柴犬をモチーフにしたカレンダーシリーズ「しばいぬ(卓上)」「日本の柴犬(壁掛け)」「黒柴(壁掛け)」(緑書房)も毎年好評を博している。
Instagram:dogtionary_hachi

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