ポルトガルの首都であるリスボンは、古き良き伝統と文化を深く感じることができるノスタルジックな街です。テージョ川を見渡す丘の上にはアズレージョの建物が立ち並び、石畳の路地をトラムがガタゴトと音を立てながら走り抜けていきます。そんな建物の裏路地には、隠れたドッグランがあちらこちらにひっそりと点在していました。

リスボンの人気観光スポットの一つ、バイシャ地区に向かいました。コメルシオ広場からレトロで人気のトラム28番に乗り、ポルタス・ド・ソル展望台で降りてそこから広がる景色を楽しみました。そしてサン・ジョルジュ城に向かおうとメイン通りに出ると、道は観光客で賑わっていました。すぐ横をトラムがチンチンとベルを鳴らしながら走り抜ける光景は観光地として圧巻でしたが、人混みに混ざって歩くことに気が引けたため、脇道に入りました。するとサン・ジョルジュ城のすぐ近くで、遺跡のような場所が目に飛び込んできました。


周囲を見渡しながらその場所の看板を見つけて情報を確認すると、なんとドッグランでした。しかもドッグランにはアジリティ設備もあり、大型犬と小型犬のためにサイズ分けされたスペース、さらにシャワーも完備されていました。この日は気温が高く、日中にドッグランで遊んでいる犬たちには出会えませんでした。しかし、こんなにレトロですてきなドッグランを見つけたら、観光地にあるドッグランに興味を持たないわけがありません。観光地巡りをやめてドッグラン探しをしました。
まず、760番のバスで20分ほどの距離にあるブラアンカンプ・フレイレ公園を目指しました。そこはたくさんの鶏が自然に暮らしている公園で、敷地の真ん中に噴水があり、その隣にドッグランがありました。

木陰もあり、多くの犬たちが遊びに来ていました。そこでは、大型犬と小型犬が入り混じって一緒に遊んでいました。この公園もアジリティ設備がしっかり整っていました。
勝手な想像で、リスボンではアジリティの人気が高く、もしかしたら人と犬の息があった姿を見ることができるのかもしれないと期待をしていました。犬を連れてドッグランに入ってくる飼い主さんと雑談をしながら、しばらく様子を見ていました。すると、いかにも運動に来たご夫婦と犬に出会ったので「アジリティの練習をここでやるの?」と尋ねると、「アジリティなんて知らないよ。ここでは犬たちを自由に遊ばせるだけだよ」と拍子抜けする答えでした。その後訪れた、新市街にあるカンポ・グランデ広場やその他数カ所の公園と広場にはすべてアジリティ設備が完備されていましたが、残念ながらアジリティをしている犬と飼い主の姿を見かけることは一度もありませんでした。

リスボンの公園や広場などの敷地では、ドッグラン以外でもノーリードで遊ばせている飼い主がたくさんいました。散歩というよりも、一緒に時間を過ごしている感じです。犬たちの行動に気を配り続ける人は少なく、犬との距離ができると口笛や名前で呼び戻す程度です。
リスボンでの犬と人の光景を見ると、彼らにとって犬たちは、肩の力を抜いて時間を共にできるパートナーなのだと感じました。
【写真・文】
蜂巣文香(はちす・あやこ)
写真家。犬、猫、コンパニオンバードなどのペット写真をはじめ、手仕事やライフスタイルなどさまざまな分野で“伝わる”写真を日々撮影している。広告や雑誌、書籍、WEBなど幅広く活躍中。欧米を中心とした海外での撮影経験も豊富。愛犬雑誌「Wan」(緑書房)でもおなじみのカメラマンで、柴犬をモチーフにしたカレンダーシリーズ「しばいぬ(卓上)」「日本の柴犬(壁掛け)」「黒柴(壁掛け)」(緑書房)も毎年好評を博している。
Instagram:@dogtionary_hachi
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