ドイツの北東部に位置し、「ベルリンの壁」で有名な首都ベルリンで冬の風物詩として知られるクリスマスマーケット。この国では約2,500のクリスマスマーケットが、12月25日の4週間前から各地の広場で開催されます。特にベルリンで人気のあるマーケットのひとつ、Weihnachtsmarkt am Gendarmenmarkt(ジャンダルメンマルクトのクリスマスマーケット)を訪れました。

このマーケットは入場料が必要ですが、それでも訪れる価値があると知人からすすめられたほど、充実したイベントや美しいライトアップが施されたマーケットを見ることができます。
入場すると、会場の中央には大きく美しいクリスマスツリーが鮮やかにライトアップされていました。さらに中央のステージでは、ミニコンサートやパフォーマンスが行われ、多くの人々で賑わっていました。装飾されたかわいらしいテントの中を覗くと、繊細な工芸品や衣類が美しく飾られていました。すると、年配のご夫妻と共に買い物に来ていたウエスティ(ウエスト・ハイランド・ホワイト・テリア)が目に留まりました。

お買い物に夢中な飼い主たちですが、犬はいたずらをしたり吠えたりすることはありません。しっかりとマナーを守っている姿に対して、ただただ尊敬の念を抱くばかりでした。
それからマーケットのもうひとつの楽しみであるドリンク・フード、お菓子までが洗練されていて胸が躍りました。
最初に、ドイツ菓子の定番である飴焼きアーモンド(Gebrannte Mandeln)を買いました。シナモン風味の飴がコーティングされたカリカリのアーモンドは、寒いグレーの冬空の下でも幸せな気持ちにしてくれました。
口の中が甘くなると、やはり塩気のある食べ物が欲しくなります。ドイツといえば、屋台グリルのソーセージやパン類です。石窯から白い湯気を立てながら焼かれているパンを横目に、炭火で焼かれたソーセージのところへ向かいました。

ソーセージを購入してスタンディングテーブルに行くと、飼い主が持っているブラードヴルスト(Bratwurst=ドイツのホットドッグのようなもの)を狙っている犬に出会いました。

その健気な姿があまりにも可愛らしく、思わず「こんにちは」と声をかけてしまいました。すると、「彼女の名前はエマ(Emma)なんだ。そんな立派なカメラを持っているなら、写真を撮ってあげてよ。その間にブラードヴルストを急いで食べちゃうから」と言われました。思わず彼のジョークに笑ってしまいました。「エマ」と呼びかけると、彼女はしっかりとこちらを見てくれました。彼女にとっては気をそらされて迷惑だったかもしれませんが、穏やかでとても賢い子でした。
そんな彼らと共に温かい時間を過ごし、お腹も満たされたので再びマーケットを歩き始めました。周囲を見回すと、家族と一緒に買い物を楽しんでいる犬たちの姿があちらこちらで見受けられました。ちなみに、先ほど出会ったエマの飼い主に聞いたのですが、ドイツ人にとって犬は大切な家族の一員であるため、犬の名前には人間の名前を付けることが多いそうです。さすが犬大国のドイツ! このマーケットで出会う犬たちの名前を尋ね歩きたくなりました。

【写真・文】
蜂巣文香(はちす・あやこ)
写真家。犬、猫、コンパニオンバードなどのペット写真をはじめ、手仕事やライフスタイルなどさまざまな分野で“伝わる”写真を日々撮影している。広告や雑誌、書籍、WEBなど幅広く活躍中。欧米を中心とした海外での撮影経験も豊富。愛犬雑誌「Wan」(緑書房)でもおなじみのカメラマンで、柴犬をモチーフにしたカレンダーシリーズ「しばいぬ(卓上)」「日本の柴犬(壁掛け)」「黒柴(壁掛け)」(緑書房)も毎年好評を博している。
Instagram:dogtionary_hachi
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