これまでにいちばん多く訪れている街は、フランスのパリです。春のやわらかな光も、冬の凛とした空気も、この街は季節ごとにまったく違う表情を見せてくれます。日本からは直行便が日に何便も飛んでいて、思い立ったときにすっと旅立てる距離感も、自然と足が向いてしまう理由のひとつなのだと思います。

シャルル・ド・ゴール空港、別名ロワシーと呼ばれる空港に降り立ち、ロワシーバスに乗ってオペラ・ガルニエへ向かいます。車窓をぼんやり眺めているうちに、約1時間でパリの中心地に到着します。
街の大きさは、東京でいえば山手線の内側ほど。滞在中は特別な予定を立てなくても、ただ歩いているだけで不思議と時間が満たされていきます。
それが、冬のパリのいちばん好きなところです。空はほとんどがどんよりとした曇りで、観光客も一年のうちでもっとも少ない季節。華やかな「観光地のパリ」ではなく、パリっ子たちのごく自然な暮らしにそっと溶け込むような時間を味わうことができます。
パリ7区、エッフェル塔へ向かいました。言わずと知れた、パリを代表するシンボルです。

早朝のパリは、石造りの街並みのせいか、体の芯まで冷えます。しっかりと重ね着をして、シャン・ド・マルス公園に足を踏み入れたその瞬間、白い息を吐きながら元気よく横を走り抜けていく犬たちがいました。誰の犬なのかはわかりません。とにかく走り回り、じゃれ合い、ときには誰かにボールを投げてもらいながら、のびのびと朝の時間を楽しんでいる様子でした。

そんな光景の中でふと目に留まったのは、よちよち歩きの赤ちゃんが、大きなレオンベルガーのお尻のあたりにちょこんと座っている姿です。

「Bonjour(おはよう)」と声をかけると、「私、アメリカから来ているの。英語で話して大丈夫よ」と、親切に話してくれました。彼女は美術の先生で、アートの勉強のためにフランスで暮らしているのだそうです。
心地よく冷たい空気の中、エッフェル塔を眺めながら公園をあとにする頃には、そろそろカフェがオープンする時間になります。冷えた体を温めるように、熱いカフェオレを片手にホットサンドの朝食を。今日の人と犬たちとの出会いが、心も体もじんわりと温めてくれました。
犬にとって、暑い夏よりも体を動かしやすい冬は、きっと最高の季節なのでしょう。どの犬も生き生きとしていて、その姿を眺めているだけで、こちらまで元気をもらえます。犬好きなら、冬のパリは断然おすすめです。

【写真・文】
蜂巣文香(はちす・あやこ)
写真家。犬、猫、コンパニオンバードなどのペット写真をはじめ、手仕事やライフスタイルなどさまざまな分野で“伝わる”写真を日々撮影している。広告や雑誌、書籍、WEBなど幅広く活躍中。欧米を中心とした海外での撮影経験も豊富。愛犬雑誌「Wan」(緑書房)でもおなじみのカメラマンで、柴犬をモチーフにしたカレンダーシリーズ「しばいぬ(卓上)」「日本の柴犬(壁掛け)」「黒柴(壁掛け)」(緑書房)も毎年好評を博している。
Instagram:@dogtionary_hachi
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