ペット用以外にも、動物園・水族館にいる動物用ミルクの製造・販売をしている森乳サンワールドの社員さんが、ミルクを使用している全国の動物園・水族館のスタッフにお話を聞く本企画。
今回は、ピューマの人工哺育で「キャットミルク」を使用したという盛岡市動物公園ZOOMO(岩手県盛岡市)に伺い、ピューマの飼育を担当する山本さんと広報担当の森さんにお話をお聞きしました!

※情報は2025年12月時点のものです
動物との信頼関係を感じた人工哺育

今回、ピューマの人工哺育に関する貴重なお話を聞けることを楽しみにしていました。山本さん、森さん、よろしくお願いします!

よろしくお願いします!

よろしくお願いします!

まずは、ZOOMOさんで飼育しているピューマについて、教えてください。

現在、タフ(オス)とニーナ(メス)のペアと、その子どものシェダル(オス)、ツィー(オス)、キャフ(メス)を飼育しています。






今回誕生した3頭のうち、キャフちゃんは人工哺育をされたと拝見しました。キャフちゃんだけ人工哺育が必要になったのはなぜですか?

キャフがメインで人工哺育になりましたが、実は、子ども3頭とも人工哺育を経験しています。ニーナが初産だったこともあり、泌乳量が少なかったことが主な理由です。産前体重は十分でしたが、その頃のニーナの泌乳量は1頭を育てるのがやっとくらいか、それよりも少ない量しか出ていなかったことが、後日実施した子どもたちの体重測定により判明しました。
出産時5頭だった子どものうち、生後3日で亡くなってしまったオスが2頭いて、その時点で残り3頭の体重を鑑みて人工哺育に切り替えました。ただし、ニーナから完全に子どもを離してしまうと育児放棄の可能性が高くなってしまうので、それぞれの体重増加に合わせて人工哺育をしました。



キャフは一番小さかったので、24時間体制で人工哺育をするしかありませんでした。他の子も、思うように体重が増えていかなかったので、シェダルは朝と夕方だけ、ツィーは日中だけという形で人工哺育をしていました。


赤ちゃんたちを預かったり、お母さんのところに戻したりするのはどのようにしていましたか?

かわいそうですけど、ニーナに水をかけるふりをしたり、場合によっては顔に霧吹きで少しだけかけたりすると、水を好む動物ではないのでその場から動いてくれます。その間に赤ちゃんを連れだす、ということをやっていました。ただ、3日ぐらい続けると、水の音聞いただけで赤ちゃんを連れださせてくれるようになりました。

子どもたちがいなくなって混乱したりしなかったですか?

不思議なことに、そういう様子は見られませんでした。

信頼関係ができているからですかね。

6年くらい飼育担当をしている私から見ると、ニーナは変わった子です。聞いてみないとわかりませんが、「あの人たちが連れていったのかな」くらいに思っているんじゃないですかね。

どういったところが変わっていると見えるのでしょうか?

慎重ではありますが、人に対して神経質ではないところです。人を頼るのがうまいんです。あまり擬人化はしたくないですが、長く担当しているとそういうふうに見えることが多くて、自分でやることと人にやってもらうことを上手に使い分けているように感じます。
そういった性格も相まって、今回の人工哺育はうまくいったのだと思います。
試行錯誤は人工哺育の醍醐味

人工哺育では、当社の「キャットミルク」を使用いただいたとお聞きしました。「キャットミルク」を採用した理由は何でしょうか?

私が以前猫を飼っていた時に「キャットミルク」を使用していて、安心感があったからです。


ピューマに与えるときは、他に何か混ぜてアレンジしていましたか?

基本的には、キャットミルクだけです。ただし、おなかが緩くなった時などには漢方薬を混ぜたりしていました。

ミルクを与える際に大変だったことや工夫したことはありますか?

どの動物の人工哺育でも同じだと思いますが、哺乳瓶をくわえてくれないことや吸ってくれないことが大変でした。また、味に慣れるまではなかなか飲んでくれないという点も苦労しました。

乳首も何種類か変えて試しましたか?

太さや長さを変えたり、人用のものも試しました。それから、乳頭の切れ込み具合も変えました。切れ込みを一本にしてみたり、バッテンにしてみたり、長さも変えてみたりしました。でも、どれが合うのか試行錯誤する過程は、面白くもありました。

最終的にはどのような乳首が合っていましたか?

少し細めのものが一番吸い付きが良かったです。
乳首の問題だけではなくて、3頭それぞれに好みの温度や与え方のクセがあるので、獣医チームと連絡帳で情報を共有しながらミルクを与えていました。


その日の体重や体調、「こうすればうまく飲んでくれるよ」など、些細な事まで書き込んでいました。

ミルクを与えた時間と量、乳首の変更とかも書いてありますね。

ミルクの味に慣れてからの飲みっぷりはいかがでしたか?

3頭とも慣れればゴクゴク飲んでくれました。ただ、母親と過ごす時間が長い子ほど、慣れるまで時間がかかりました。キャフは24時間体制で人工哺育をしていたので、比較的早く慣れてくれました。
便の状態を見て濃さも変えていましたが、問題なく飲んでくれていました。
使いやすくて捨てられない空き缶

当社の製品を使用して良かった点はありますか?

1番は、安心感があることです。それから、使いやすさと嗜好性の高さです。哺乳期間が終わった後も、しばらくは粉の状態でお肉にふりかけていたので、栄養補給の用途で卒乳後も使えるところも良かったです。
あと、缶が使いやすいです。スプーンで粉をすくった後に、缶のへりですりきり一杯を調整できるのは使いやすいです。缶は全部きれいに洗って、他の動物のサプリメントなどを入れたりして再利用しています。


付属のスプーンもすごく使いやすいです。細長いので差し込みやすくて、持ち手の先端が缶のフチに引っかかって落ちないようになるのでとても良いですよね!

他の園館さんでお話を聞いたときも、空き缶を活用していると言っていました。皆さん再利用してくださっているんですね。
「キャットミルク」を他の動物に与えたことはありますか?

フラミンゴに与えていた印象が強いです。私が飼育係だったとき、別の動物園の先輩に「フラミンゴにはキャットミルクだよ」と教えてもらいました。フラミンゴ用のペレットと混ぜて与えていました。

フラミンゴには「キャットミルク」が合っているんですね! ちなみに「キャットミルク」以外の製品を使用したことはありますか?

ノウサギやケープハイラックスで「ドッグミルク」を使いました。

「キャットミルク」と「ドッグミルク」は汎用性が高いと他の園館さんでも聞いていて、本当に色々な動物たちに使っていただいているのが実感できました。

やっぱり、過去に与えて成長できているという実績があるので、安心して使えます。

先輩から教えてもらって、それを使い続けるというのは飼育員あるあるだと思います。動物たちの命に関わるところなので、安心感は大切です。
成長しても好きな味

ミルクを哺乳以外の体調管理や栄養補給などで使用したことはありますか?

あります。体力が落ちているときや食べてほしいものがあるときに、嗜好性をあげるために粉ミルクを振りかけたりします。

それも色々な動物にということですか?

はい。キツネやタヌキ、テン、ハクビシンあたりです。

ピューマにはもう与えていないですか?

もうお肉をたくさん食べてくれて、栄養も十分なので卒乳しましたが、切り替わりの時期はかけていました。ニーナも全く気にしないで食べていましたよ。

お母さんも!? 甘くておいしいんですかね?

味覚がどうなのかわかりませんが、床に残ったものを舐めたりもするので、甘いものが好きなのかもしれないです。子どもたちのごはんをお肉に切り替えていく時、ニーナと同じ部屋で食べさせていました。ニーナ用に「キャットミルク」をかけていないものと、子どもたち用にかけたものを準備しても、ニーナがかけたほうを食べることがあるんです。

ちなみに、みなさんは飲んだことありますか……?

無いですね……。

獣医師の方が、動物にあげるものは全部口にしてみたいと言っていて、「キャットミルク」ではないですが、サルペレットは美味しいと言っていました。

草食動物のペレットはただの草という感じで美味しくないんですが、雑食性のペレットは美味しいのかもしれませんね。

今度「キャットミルク」を試してみましょう!(笑)
今しか見られないピューマが家族でいる姿

ピューマの家族と盛岡市動物公園ZOOMOの見どころを教えてください!

ピューマ一家に関しては、それぞれの個性が強いのでそこが見どころです。あとは、ピューマの子どもを見る機会はなかなかないと思いますし、将来的には他の動物園に転園してしまいますから、どんどん大きくなっていく様子を見てもらいたいなと思っています。


子どもたちは1頭も残らず、ニーナちゃんだけ残るということですか?

そうです。寂しいですが、野生下でも1年半ぐらいで親から離れていく動物ですし、ピューマの個体数を増やすことも私たちの責務です。
子どもたちがニーナとわいわいやっている姿を見られるのは転園するまでの期間限定なので、実際に見に来てほしいなと思います。

国内のピューマの個体数は、すごく少ないとお聞きしました。

日本の動物園では、13頭飼育されています。そのうちの5頭が、今当園にいます。他の8頭は年齢が上がっている個体も多いので、なかなか繁殖まで進んでいないのが現状です。

今回生まれた赤ちゃんたちが希望になるといいですね。

当園のピューマは、盛岡市の姉妹都市であるカナダのヴィクトリア市が、開園時に「カナダカワウソ」「オオツノヒツジ」と一緒にプレゼントしてくれたんです。



この3種は、当園のシンボルのような動物たちです。
当園以外だと、カナダカワウソは茨城県にある大洗水族館さんだけですし、オオツノヒツジは横浜の金沢動物園さんでしか飼育されていません。
ピューマの家族もですが、日本ではあまり見られない動物たちに会えるのも当園の魅力です!
おわりに
盛岡市動物公園ZOOMOでは、「キャットミルク」や「ドッグミルク」を昔から使用していただいていたようです。ただ動物にミルクを与えるのではなく、空き缶も大事に再利用していると聞き、とても嬉しく思いました。
ミルクはいつか卒業するものですが、その後の飼育でも様々な形で当社のミルクが活躍していると知り、ますます全国の動物園・水族館とのつながりを感じました!
次回も、全国の動物園・水族館へ足を運び、ミルクの使用の実情や飼育についてお聞きしたお話を紹介します。お楽しみに!
【森乳サンワールド】
・55周年特設サイト…https://55th.morinyu-pet.com/
・ホームページ…https://www.morinyu-pet.com/useful/lifetime-milk/
・X…@morinyu_pet
・Instagram…@morinyu_pet
【盛岡市動物公園ZOOMO】
・公式サイト…https://zoomo.co.jp/
・X…@moriokazoo
・Instagram…@moriokazoo.zoomo
・Facebook…盛岡市動物公園 ZOOMO
・LINE…盛岡市動物公園ZOOMO
「いきもののわ」では、ペットや動物園・水族館、野生動物、動物関連イベントなど、いきものにまつわる様々な情報をお届け中!
メールマガジンでは、特集記事の紹介や次月特集の一部をチョイ見せ!
登録はこちらのフォームから。ぜひご登録ください!
各種SNSも随時更新中! ぜひフォローしてください!
