魅力的なコスタリカの鳥たちを訪ねて【第4回】空の王者たち

生態系に欠かせない食性

読者の方は『コンドルは飛んでいく』という楽曲をご存じでしょうか。南米アンデス地方の民族音楽を、サイモン&ガーファンクルがカバーして世界に紹介しました。曲名を知らなくても、フレーズを聞けば「ああこの曲か」と分かるほど有名な曲です。小学校の教科書にも載っていたことがあります。

コンドルは、翼を広げると3メートル以上にもなる地球上で最も大きな鳥です。上昇気流に乗って空を優雅に舞う姿は迫力があり、この曲のイメージにぴったりです。とはいえ生息地がアンデス山脈であるため、私は実際に見たことがなく、映像を見ただけですが。

コスタリカでは、コンドルよりも一回り小さなヒメコンドルを見ることができます。翼の下半分が白く、飛翔中に目立つので、見間違えることはありません。この模様を見て、エルヴィス・プレスリーの衣装のようだと言った人もいますが、読者の方には古くてピンとこないかもしれません。私はそれではと『魅せられて』のジュディ・オングの衣装のようだと話しましたが、これも若い人には理解できなかったようです。

猛禽類には猛々しいイメージがありますが、ヒメコンドルは死んだ動物の肉をあさって食べます。臭覚が優れていて、死体が発する臭いを嗅ぎ分けて集まってきます。死体の位置を数キロメートル先から嗅ぎ分けるというから驚きです。

写真:飛翔するヒメコンドル

写真:枝にとまるヒメコンドル

クロコンドルも死肉を食べます。こちらは視覚が優れていて、死体の場所や、ヒメコンドルが集まっている場所を遠くから目ざとく発見します。そのため、クロコンドルはヒメコンドルよりも高い位置を飛翔しています。数キロメートル先から死体に気づき、群れでくることで自分より大きなヒメコンドルを追い払ってしまうという巧妙さです。

写真:枝にとまるクロコンドル

写真:クロコンドルの飛翔

死肉をあさる鳥では、アフリカのハゲワシが有名ですね。よく観察するとハゲワシにも種類があり、同じ種類の中にも順位があり、弱いハゲワシは死体を取り囲むようにして順番待ちをしています。その集まりにハイエナが気づき、食物争いが行われるのです。

写真:シマウマの死肉をあさるマダラハゲワシ(ケニアにて)

これらの動物は「スカベンジャー」と言われています。スカベンジャーとは「動物の死骸を食べる生き物」という意味で、死んだクジラを食べるオオグソクムシや、死骸を食べるシデムシなどもスカベンジャーです。日本の鳥類では、カラスやトビがその役割をしています。車に轢かれた動物の死体がいつの間にかなくなっているのは、カラスなどが食べてくれたからです。嫌われ者のように感じるスカベンジャーも、自然にとってはありがたい存在なのです。

荒々しいハンターたち

カンムリカラカラは、牧草地や農耕地などの開けた場所でネズミやカエル、ヘビなどをとらえて食べるハヤブサの仲間です。コンドルよりも一回り小型の猛禽ですが、死肉をあさって食べているコンドルを追い払って食べる荒々しさがあります。メキシコの国鳥に指定されています。ところが、メキシコ国旗の中央に描かれている鷲の絵は、どう見てもカラカラではなさそうです。

写真:カンムリカラカラ

アカオノスリというタカは、日本で見られるノスリに近く、その名の通り尾が赤いのが特徴です。コスタリカ全域に生息しています。小型の小動物や鳥類を襲って食べるため、第1回目の記事でご紹介したケツァールにとっては天敵のようです。

写真:アカオノスリ

【文・写真】
大塚之稔(おおつか・ゆきとし)
1954年生まれ、信州大学卒。カッコウやライチョウなどの研究を行う。日本野鳥の会岐阜顧問、環境省希少動植物保存推進員、岐阜県野生生物保護推進員などを務めている。野鳥観察歴55年。日本全国はもちろん、今回紹介しているコスタリカをはじめ、東南アジア、アフリカ、ヨーロッパなど十数カ国を巡り、野鳥の観察・撮影をしている。