オコジョとは?
オコジョ(Mustela eriminea)は食肉目イタチ科の小動物で、その愛らしさから「山の妖精」と呼ばれることもある登山者の間でも人気の動物です。
国内には、本州中部以北の山岳地に生息する「ホンドオコジョ」、北海道に生息する「エゾオコジョ」がいて、亜種で区別されています。可愛らしい姿とは裏腹に、鳥類、ネズミなどの小動物や、昆虫類などを捕食します。
夏は茶色い毛をしているオコジョですが、秋になると、雪積もる冬に向けて毛が真っ白に変わります。尻尾の先だけは、1年中黒いままです。



観察してみよう
オコジョは、なかなか出会うことができない珍しい動物です。動きは非常に敏捷で、仮に姿を見つけてもすぐに居なくなってしまうことが多いです。
尾瀬では、木道の下から突然現れたり、岩場に姿を現すことが多いようです。また、一般的に警戒心が強い動物といわれますが、登山者の足下に寄って来たり、団体客が通過する賑やかな時にも姿を見せてくれることがあります。


観察における注意点とマナー
オコジョを見つけたときは、ビックリさせないように静かに見守りましょう。静かにすることで観察がしやすくなるかもしれません。
また、餌を与えたり、近寄って来たオコジョに触ろうとしたりすることは絶対にやめてください。
木道にオコジョが出てきた時は、オコジョに夢中になるあまり道から転倒しないように注意しましょう。

観察におススメの時期やスポット
ビジターセンターに寄せられた目撃情報では、目撃件数が多かったのは9月でした。その理由としては、親離れした個体がよく見られたり、ミズナラなどの木の実を探す野ネズミを狙って行動が活発になっているからかもしれません。

目撃場所については、燧ヶ岳(ひうちがたけ)や至仏山(しぶつさん)などの山岳地帯だけでなく、尾瀬ヶ原側では「鳩待峠~山ノ鼻」、尾瀬沼側では「尾瀬沼周辺」「沼山峠~大江湿原」など、アクセスしやすい場所でも数多く目撃されています。
尾瀬のビジターセンターでは、オコジョを目撃した方に「おこじょ発見証明証」を発行しています。ぜひ尾瀬でオコジョを目撃した際は、ビジターセンターまで情報を寄せてください。

おわりに
非常に可愛らしい姿のオコジョですが、環境省のレッドリストで「準絶滅危惧種」に指定されており、地球温暖化や生息環境の変化などによって分布域が縮小したり、個体数が減少しているといわれています。
オコジョを守っていくためには、自然環境を保護することはもちろん、ごみを持ち帰るといった私たち一人ひとりのルール・マナーの徹底が欠かせません。

【文・写真】
宇野翔太郎(うの・しょうたろう)
公益法人尾瀬保護財団 企画課 主任。
尾瀬国立公園の自然の素晴らしさや大切さを普及し、オコジョをはじめ貴重な動植物を後世に守り伝える活動をしている。
【公益財団法人尾瀬保護財団】
・ホームページ:https://oze-fnd.or.jp/
・Instagram:@discoveroze
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