森乳ミルクでずっと一緒に【第4回】国内初を支える「エレファントミルク」:広島市安佐動物公園 獣医師編

ペット用以外にも、動物園・水族館にいる動物用ミルクの製造・販売をしている森乳サンワールドの社員さんが、ミルクを使用している全国の動物園・水族館のスタッフにお話を聞く本企画。

第4回は、ゾウ用人工ミルク「エレファントミルク」を使用している広島市安佐動物公園(広島県広島市)に伺い、同園の獣医師・野田先生に、ゾウの妊娠・出産・人工哺育についてお聞きしました!

インタビュアー:森乳サンワールドの村尾さん(左)、谷中さん(左から2番目)、伊藤さん(真ん中)、丸山さん(右から2番目) インタビュイー:広島市安佐動物公園の獣医師の野田先生(右)

※情報は2025年11月時点のものです

全てがはじめての経験

森乳サンワールド 丸山さん

―野田先生、アオくん、メイちゃん、本日はよろしくお願いします!

安佐動物公園 野田先生

―よろしくお願いします!

森乳サンワールド 丸山さん

―国内では安佐動物公園さんでしか飼育されていないマルミミゾウの、貴重なお話をお聞きできることを楽しみにしていました。

安佐動物公園 野田先生

―妊娠・出産も、当園のメイが国内初なんです。

マルミミゾウのメイ(メス、左)、アオ(オス、右)
森乳サンワールド 丸山さん

―メイちゃんの妊娠が発覚した後、園内で気を付けていたことや工夫していたことなどはありましたか?

安佐動物公園 野田先生

―なにしろ、ゾウの出産自体がはじめてでしたので、メイの様子に変わりがないかというところは、特に気をつけるようにしていました。
何をしても「これでいいの?」「どうなんだ?」という状態でした。エコーの画像を見ても、お腹の子が成長しているのかどうか、全然わかりませんでした。

森乳サンワールド 丸山さん

―野田先生にとっても、はじめてのゾウの出産だったのですね。

妊娠中のメイ。お腹が大きくなっているのがわかる
安佐動物公園 野田先生

―当園としても、ゾウの出産自体初めてでしたから、園内の誰かに聞こうにも聞けない、そういう状況でした。

森乳サンワールド 丸山さん

―園内で解決しない場合は、他の動物園の方に聞いたりするのですか?

安佐動物公園 野田先生

―そうです。ゾウの出産を経験されている獣医師に聞きまくりました。
しかし、たとえば難産になったときに、あんなに大きな動物に人間が手を貸せることは多くありません。なので、最後は神頼みでした。「頼むから、無事に生まれてきてくれ」って。

森乳サンワールド 丸山さん

―当社の「エレファントミルク」を使用いただくと聞いた時から、安佐動物公園さんのホームページやSNSで2頭の様子を拝見していました。今日は元気いっぱいな姿を見られてとても感動しています……!

安佐動物公園 野田先生

―私たちも、元気に育ってくれて安心しています。

メイ
アオ

「エレファントミルク」がお気に入り?

森乳サンワールド 丸山さん

―当社の「エレファントミルク」をどこで知りましたか?

安佐動物公園 野田先生

―人工哺育の準備の一環として、他の動物園・水族館の方に話を聞いたときに「エレファントミルク」を知りました。

エレファントミルク
森乳サンワールド 丸山さん

―実際に使用してみて、使い勝手などはいかがでしたか?

安佐動物公園 野田先生

―すごく溶けやすくてびっくりしました!
当園ではキリンの人工哺育をしたことがあり、そのときは牛用ミルクを使っていましたが、きれいに溶けずにダマになることがよくありました。ダマになると哺乳器で詰まってしまうので、ストレスに感じていました。それがきれいに溶けてくれて、とても使いやすいです。

森乳サンワールド 丸山さん

―ありがとうございます。当社のミルクは、「造粒加工」という溶けやすくなる工夫をしています。

安佐動物公園 野田先生

―色々と情報を見て、工夫されていること知りました。本当に助かっています。

森乳サンワールド 丸山さん

―アオくんが生まれた後は、主に当社の「エレファントミルク」を与えていたのでしょうか?

安佐動物公園 野田先生

―産まれてから1週間程度は、お母さんのおっぱいに口が届かなくて母乳を飲めていませんでした。私たちとしても、口が届かないという理由でミルクを飲めないのは想定外でしたが、あらかじめ準備をしておいた「エレファントミルク」を与えました。

森乳サンワールド 丸山さん

―母乳で育つことがベストだとは思いますが、当社のミルクが役に立てて良かったです。

安佐動物公園 野田先生

―藁を積んで段差を作ったり、メイの乳首の周りに「エレファントミルク」を塗って興味を引いてみたりと、様々な工夫をして、最終的にメイから授乳できるようになりました。

メイから授乳している様子。ゾウの乳首は前肢の付け根のすぐ後にある
森乳サンワールド 丸山さん

―現在は、どのようなときに「エレファントミルク」を使用していますか?

安佐動物公園 野田先生

―現在は、体重測定のときや、メイの足の手入れをするときに邪魔をしないように、気をそらすことを目的に使っています。

アオへの授乳の様子。アオの下に体重計がある
森乳サンワールド 丸山さん

―ミルクの嗜好性や飲みっぷりはいかがですか?

安佐動物公園 野田先生

―「チュパー!」って音を立てながらグググっと飲み干しますよ(笑)

森乳サンワールド 丸山さん

―好評なようで嬉しいです!
一度にどのくらいの量をあげているのでしょうか?

安佐動物公園 野田先生

―1回で1リットル弱くらい与えています。メイの手入れをするときは、量を多くしたいので少し薄めに溶かして、1.5リットルほど用意しています。現在は、母乳で栄養は足りていると判断しているので、その程度しか与えていません。

森乳サンワールド 丸山さん

―薄めても飲みっぷりは変わらないんですか?

安佐動物公園 野田先生

―変わりませんね。手入れが全然終わっていないのに飲み切るので、まだ行かないで……となります(笑)

―母乳と人工ミルクを併用していると、「お母さんのミルクと味が違うから人工ミルクは飲まない!」となることがよくあるらしいので、私たちも細心の注意を払っていました。アオに関しては、鈍感なのか、全く気にしていないみたいです。本当にわがままを言わない良い子で、飼育スタッフたちも助かっています。

希少動物たちの命をつなぐために

森乳サンワールド 丸山さん

―「エレファントミルク」以外に当社の製品を使用したことはありますか?

安佐動物公園 野田先生

―実は森乳さんの「ドッグミルク」をよく使っています!

ドッグミルク(右)と森乳サンワールドオリジナルマスコットの「みるぱん」(左)
森乳サンワールド 丸山さん

―ありがとうございます! ちなみに「ドッグミルク」はどの動物に与えているのですか?

安佐動物公園 野田先生

―どの動物にも、ミルクの種類の選択に困ったら「ドッグミルク」を与えています。先輩の飼育係から「迷ったらドッグミルク」と教わりましたし、当園では、ウサギもムササビもモモンガも「ドッグミルク」をあげていますよ。

森乳サンワールド 丸山さん

―昔から使用されていたんですね! ありがとうございます。

安佐動物公園 野田先生

―「エレファントミルク」を知ったときに、「ドッグミルク」と同じ会社が作っているのか! と初めて知りました。もっと調べたら、パンダやクマ、海獣用もあって驚きました。

森乳サンワールド 丸山さん

―調べていただいてありがとうございます!

パンダミルク
安佐動物公園 野田先生

―実は、以前にサイや馬のミルクの成分を調べたことがありました。その時に、動物種によってミルクに含まれている栄養素の種類や濃さが全然違うことを知りました。なので、様々なタイプのミルクを作っていただけると私たちも選びやすいですし、ミルクを調整しやすいのでとてもありがたいです。

森乳サンワールド 丸山さん

―海獣用は脂質が高いなど、それぞれに特徴がありますね。

イルカやアシカなどの海に生息する哺乳類用に作られた「海獣ミルク」
安佐動物公園 野田先生

―そうなんです。海獣を例にすると、昔は脂質を高めるために生クリームで調整するなど、色々な工夫をしたと聞いています。今だったら、迷わず「海獣ミルク」を選ぶと思います。

―需要がわずかだというのも分かっています。「エレファントミルク」もストックがあるわけではなく、受注生産の形で、社会貢献も含めて製造していると思います。それでも、こうして作ってくださっていることで、産まれてくる動物たちの命がつながっていますし、本当にありがたいです。

飼育係に向かって歩いてくるアオ
安佐動物公園 野田先生

―昔は、ゾウ用のミルクを海外から仕入れていて、コミュニケーションの難しさや税関など、様々なハードルがあったと聞いています。それが今では、電話1本で数カ月待ったら届くようになっています。
ゾウの出産を抱えている動物園は、みんな感謝していると思いますよ。

森乳サンワールド 丸山さん

―直接こういったお話を聞くことで、貴重な機会に携われていることが実感できて、とても嬉しいです。

安佐動物公園 野田先生

―野生のゾウが様々な問題によって絶滅の危機に瀕しているなかで、種の保存を考えたときに、繁殖はゾウがいる動物園の責務になっています。
私たちも、こうして使用感などを発信することで、他の動物園や今後の製造の役に立てるのであれば嬉しいです。

葉っぱが気になるアオ(左)とその様子を見るメイ(右)

おわりに

今回は、「エレファントミルク」を使用している広島市安佐動物公園にお邪魔しました。
希少動物であるマルミミゾウの子育てを、人工ミルクという形で支えることができていたという話を聞き、とても嬉しく感じています。
アオくんが「エレファントミルク」をグググっと飲んでいる様子を見て、安堵と共に、これからも健やかに成長してくれることを願うばかりです。

次回は、マルミミゾウの飼育係さんにお聞きした話を紹介します(2026年3月公開予定)。お楽しみに!

【森乳サンワールド】
・ホームページ…https://www.morinyu-pet.com/useful/lifetime-milk/
・X…@morinyu_pet
・Instagram…@morinyu_pet

【広島市安佐動物公園】
・公式サイト…http://www.asazoo.jp/
・X…@asa_zoo
・Instagram…@asazoo_hiroshima
・YouTube…安佐動物公園 公式 -asazoo official-

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