「ゆっくり」や「のんびり」というイメージがある亀は、硬い甲羅が特徴的でペットとして人気があるいきものです。
そんな亀との生活をリアルに描いた4コマ漫画が、SNSを中心に注目されています。
今回は、その4コマ漫画を描く漫画家・カメユさんに、亀との暮らしの魅力をお聞きしました。
亀のかわいさを伝えるためにコツコツと
―カメユさんのプロフィールを教えてください!

普段は漫画家として活動しており、主にSNSで亀との暮らしのあるある4コマ漫画を投稿しています。
亀(ミシシッピアカミミガメ)と暮らし始めて約20年になります!
※ミシシッピアカミミガメ(通称:ミドリガメ)は、「条件付特定外来生物」に指定されています。飼育は可能ですが、売買・放出は禁止されています。詳しくはこちら(環境省、日本の外来種対策)

―20年ですか! とても長い時間を亀と過ごされているのですね。

そうですね! 小学5年生から亀一筋です。

―亀との暮らしのエッセイ漫画を描きはじめたきっかけは何ですか?

この20年間、亀の良さを話しても伝わらないもどかしさがありました。
「亀飼ってるんだよね」と話しても「あぁ、亀ね……」という具合で、写真を見せても亀のかわいさは共感してもらえないことが多く、どうにかして亀の良さを伝えたいと思っていました。
―犬、猫などに比べるとかわいさが伝わりづらいのかもしれませんね。


そういう思いを持ちながら漫画家の活動をしている中で、亀との暮らしを漫画にしてSNSであげてみたらどうだろうと思い、挑戦してみました。
すると、その漫画が多くの共感を得ることができ、「やっぱり伝わる人はいるんだ!」と感じてとても嬉しかったです。
―20年の思いが実ったわけですね!

そういった反響もあって、この4コマ漫画を書籍化した『亀に無視され続けています』(産業編集センター、2025年)を2025年2月に出すことができました。

―漫画を描くうえで気を付けていることはありますか?

誇張しすぎずに、できるだけありのままを描くようにしています。たとえば、動物の漫画表現はいろいろな方法があると思いますが、私の漫画では亀にアテレコをしたりしないようにしています。
犬や猫と違って、亀は何を考えているかわからないところがかわいいポイントだと思っているので、実際にした反応は描きつつ、こちらの考えや思いを押し付けないように気を付けています。
―じっとして、ぼーっとしている顔がかわいいですよね。

漫画としてはシュールになってしまいますが、そのシュールさも亀との暮らしの良さだと思うので意識して描いています。読んでくれている方々も、そこにリアルさを感じてくれていると思うので、大切にしています。

亀のいない生活は考えられない
―亀を飼育するきっかけは何だったのでしょうか?

小学生の時に、何か動物を飼いたいと思っていたのですが、マンションに住んでいたので大きな動物は飼うことができず、両親の意向で、寿命の短い動物も飼うことができませんでした。その中で、学校で飼育していた亀だったら良いのではと両親に相談し、2匹飼いはじめました。

―学校の亀のお世話もしていたのですか?

飼育係を担当していたので、学校でも亀、家に帰っても亀で、亀三昧でした(笑)。
―亀のことが大好きなのが伝わってきます!

今となっては亀がいるのが当たり前になりました。
一人暮らしを始めた時に2匹とも実家に置いてきたのですが、1~2年経った頃に亀のいない生活に耐えられなくなって1匹連れてきました。
―亀が来てから変わったことはありますか?

亀を観察する時間が増えたことで、愛情が深まりました! これが原動力になって、「亀との日常を描いてみよう」という気持ちを後押ししてくれました。

―カメと暮らしていて大変だったことは何ですか?

どんどん大きくなることです。飼い始めたときは手のひらに乗るサイズでしたが、今では飼育スペースが虫かごくらいの大きさから120リットルの衣装ケースになりました。
―水換えも大変そうですね。

水換えはポンプでやっています。最初は足で踏むタイプのポンプを使っていたのですが、水を排出するだけで30分近くかかっていました……。
―30分ですか!

今は電動ポンプを購入して楽になりました。ただ、亀は食べこぼしが多かったり、糞が大きかったりするので、水をすごいペースで汚してしまいます。夏は2~3日に1回は水換えをするので大変です。

お互いのペースで生きていく
―亀と暮らしてよかったことや嬉しかったことを教えてください!

一番は長生きなところですね。20年も一緒に暮らしているとこちらのステージも変わりますし、その時に合わせた暮らし方ができるようになります。
たとえば、亀を部屋の中で歩かせることは実家ではできませんでしたが、一人暮らしをしてからできるようになりました。歩かせることで「短時間でこんなに動き回れるんだ」「こんなに登ったり下りたりするんだ」というように、新たな発見がありました。長い時間を共にしても、まだまだ知らない一面を見せてくれます。
―長生きしてくれることは、亀の大きな魅力ですね。


諸説ありますが40年以上生きるといわれていますし、うちの子がもう20年も生きてくれたらすごく嬉しいですね。
実際、アラフィフの亀もたくさんいるので、これからも普段は見られない姿を見せてほしいです。
―カメとの暮らしの魅力は何でしょうか?

お互いの時間の違いや距離感は魅力だと思います。こちらが忙しくて慌ただしくしているとき、ふと横を見て、亀がのんびりと日向ぼっこをして足を伸ばしていると、自然と一息つくことができるんです。
亀との暮らしには、スローライフのような特有の時間が流れていて、お互いに求めすぎず、でも遠すぎない、ちょうどいいつながりを感じられるところが良いと思います。

―ありがとうございます。最後に、この記事の読者にメッセージをお願いします。

私自身、こんなにも亀の漫画に反響があったことに驚いていますが、意外と亀好きな人が多いことや、亀が身近ないきものであることを実感しました。外来種などの問題もありますが、私の漫画で亀の魅力が伝わると幸いですし、普段の生活で少しでも亀に目を向けてくれると嬉しいです。

―ありがとうございました! これからの作品も楽しみにしています!
カメユ
漫画家・イラストレーター。亀とのリアルでシュールな暮らしを描いた4コマ漫画をSNSに投稿。著書に『亀に無視され続けています』(産業編集センター)。
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