フォトエッセイ 猫に呼ばれて世界の街へ【第34回】桜の季節、猫島へ(日本)

桜が咲く季節は、一年の中でも特別な時間に感じられます。この時期になると、海外に出かけるよりも日本の春を追いかけたくなります。

この連載ではこれまで、海外の旅先で出会った猫たちを紹介してきました。けれど実は、日本のいわゆる「猫島」にもよく足を運んでいます。今回は番外編として、桜の季節の猫島の雰囲気を味わってください。

冬から春へと季節が移り変わるころ、私は空の色の変化にまず気づきます。冬には澄んでいた青空が、春が近づくと少しかすんで見えるようになります。富士山の見え方や、ビルの隙間から見えるそのわずかな変化が、私にとっては春の訪れの合図です。

そんな春の空を眺めながら船に揺られて島へ向かうと、都心とは空の印象が少し違います。海に囲まれた島ではチリが少ないからでしょうか、空が澄んで見える日もあります。島へ向かう途中で出会ったウミネコも、気持ちよさそうに春の空を飛んでいました。

宮城県石巻市にある田代島は、世界的にも知られる猫島の一つです。国内外から多くの観光客が訪れます。猫たちは島の人たちに大切にされていて、猫を祀る「猫神社」があるほか、漁師さんから魚のお裾分けをもらうこともあります。

島を訪れたタイミングで桜が咲いていると、それだけで嬉しくなります。桜の木の下で自由に過ごす猫たちの姿は、春ならではの光景です。

そして、木登り好きの猫が桜の木に登ると、あたりの空気がふっと和みます。

ポカポカ陽気の日は、猫も日向派と日陰派に分かれるようです。

田代島以外にも、瀬戸内海や九州の猫島に桜が咲くタイミングで訪れたことがあります。
早咲きの河津桜は、ピンク色が濃くてかわいらしいです。

桜の木の下で寝転がっていると、猫がのぞき込んできたこともありました。

この時期は、うららかな春の日差しの下で、猫たちが集団でひなたぼっこをする光景を見かけることもあります。気持ちよさそうに目を細めている姿を見ていると、こちらまでのんびりした気分になってきます。居心地のよい場所を見つけるのが、本当に上手ですね。

春の空気は、ほかの季節とは少し違います。光は柔らかく、風が穏やかなときは時間がゆっくり動いているように感じられます。こうした穏やかな風景が続いていくように、私自身もルールやマナーを守りながら島を歩いています。

【文・写真】
町田奈穂(まちだ・なほ)
猫写真家。水中写真家・鍵井靖章氏との出会いをきっかけにカメラを始める。「猫×彩×旅」をテーマに、世界中を旅しながら各地で出会った猫たちを撮影。これまでに35ヶ国以上を訪れ、2023年には念願の世界一周を果たす。2023年、2024年に富士フォトギャラリー銀座にて個展を開催。その他企画展やSNS等を通じて作品を発表している。
Instagram:cat_serenade
X:naho_umineko

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