今年の8月に、8年ぶりに台湾・台北を訪れました。
前回は初めてのレンズ交換式カメラを手に入れたばかりのころで、猫を目的にした旅ではありませんでした。そう考えると「猫に出会うための台湾旅」としては今回が初めてかもしれません。
15年ほど前のことになりますが、真夏の高雄を訪れてあまりの暑さに懲りて以来、夏の台湾は避けていました。けれど東京の夏が異常なほど暑くなった今、あらためて台北に降り立ってみると、案外心地いいものでした。南部と北部の気候の違いもあるかもしれませんが、街を吹き抜ける風や木陰の涼しさに、意外な快適さを感じました。
通勤ラッシュ時に坂道を滝のように下る無数のバイクや、街に漂う屋台の香りに包まれると「ああ、台湾に来たな」と懐かしい気持ちがよみがえります。
人気観光地である「九份」は、標高が少し高いからか、吹き抜ける風が爽やかで避暑地のように感じられました。展望台からは海まで見渡すことができ、赤い提灯が灯り始めると異国情緒がいっそう濃くなります。

夕方から夜にかけての老街は、相変わらずの人の波でした。夏休みということもあり、日本人観光客の姿も多く見かけました。

それでもメイン通りを一歩外れれば、のんびり毛づくろいをする猫に出会うことができました。

台北で猫といえば「猴硐(ホウトン)猫村」が有名ですね。台北駅から電車でおよそ1時間。日本統治時代には炭鉱の町として栄え、駅前には炭鉱の歴史を学べる無料の施設もあります。今では「猫村」として知られ、国内外から多くの猫好きが訪れる場所になりました。

猫村のあちこちに可愛らしい猫のオブジェや案内板が設置されていて、歩くだけで心が和みます。

夏なので猫もあまり活発には動かず、風通しのよい日陰でゆったり過ごしていました。そのゆったり感こそが猫村らしい時間の流れなのだと感じました。

茂みの陰に潜む姿を探すのも楽しみのひとつです。

なかでも私が猴硐らしいと感じるのは、猫と一緒に線路を見下ろせる景色です。時折通過する列車と猫を一緒に写真に収められるのは、この土地ならではの風景だと思います。

台北滞在中には、早朝のお寺の前でも猫に出会いました。

窓辺にずらりと並ぶ招き猫の中に紛れて、外の鳥に向かって一生懸命話しかけている猫の姿も微笑ましかったです。

今回は2泊3日のショートトリップでした。日本から4時間ほどのフライトで行けて、短い滞在でも十分楽しめるのが台北の魅力です。次は少し涼しい季節に、また猫たちに会いに出かけたいと思います。
【文・写真】
町田奈穂(まちだ・なほ)
猫写真家。水中写真家・鍵井靖章氏との出会いをきっかけにカメラを始める。「猫×彩×旅」をテーマに、世界中を旅しながら各地で出会った猫たちを撮影。これまでに35ヶ国以上を訪れ、2023年には念願の世界一周を果たす。2023年、2024年に富士フォトギャラリー銀座にて個展を開催。その他企画展やSNS等を通じて作品を発表している。
Instagram:cat_serenade
X:naho_umineko
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