さかな芸人ハットリが解説! 外来種を知ろう! 【第1回】そもそも外来種って何?

はじめに

テレビやSNSなど、様々な場面で見聞きすることが多い外来種。突然ですが皆さま、外来種ってどんなイメージがありますか?
「外国から来た悪いことをするいきもの」という漠然としたイメージをお持ちの方も多いのではないでしょうか?

しかし、外来種は何も外国から来たいきものだけを指すものではありませんし、全ての外来種が悪影響を及ぼすわけでもありません。本連載では、そんな外来種の基本的な話から、代表的な外来種の生態や環境への影響などを紹介します。

第1回目となる今回は、そもそも外来種とは何か、その定義を解説します!

代表的な外来種:アメリカザリガニ

自己紹介

「いきもののわ」をご覧の皆さまはじめまして! さかな芸人ハットリです。
魚の名前だけで人気曲を歌う替え歌芸が持ちネタで、釣った魚は396種類、食べた魚は500種類以上!
全国の水族館や漁港でのイベントに出演している他、2024年からは、各地で悪影響を及ぼしている外来種を調理して提供する「外来種キッチンカー」をオープンしました。

外来種キッチンカー

さらに、出店の際には、環境省協力のもと作成した「そもそも外来種って何がいけないの?」という冊子を無料配布しています。
お笑いと並行して外来種問題の普及啓発活動をするという、我ながらなかなか珍しいタイプの芸人だと自負しています。

環境省協力 そもそも外来種って何がいけないの?

外来種ってなに?

まずは外来種という言葉の定義を確認しましょう。外来種とは「人の活動により本来の生息地ではない場所に移動させられたいきもの」のことを指します。

ここで間違えやすいポイントを4つまとめます。

1.自力で移動したり、自然の流れで移動したいきものは含まない

自分で飛べる渡り鳥や、海流に乗って移動したいきものは外来種に含みません。

あくまでも、人によって本来の生息地ではない場所に移されたいきもののことを指します。

2.わざとかどうかは関係ない

いきものを移動させた理由が意図的かどうかは関係ありません。

釣るためにあえて放流したブラックバス(標準和名オオクチバス)は意図的に持ち込まれたいきもので、輸入された貨物にくっついてきたヒアリは意図的ではなく持ち込まれたいきものですが、どちらも外来種です。

3.国境は問わない

言葉の響きから、「外来種」とは外国から来たいきもののことだと思っている方も多いですが、日本国内でも本来の生息地ではない場所に持ち込まれた場合は外来種となり、これを「国内外来種」といいます。
国内外来種は、時には外国から持ち込まれた「国外外来種」以上に環境に悪影響を及ぼす場合もあります。
たとえば、子どもたちに大人気のカブトムシ。僕も小さな頃から大好きですが、その魅力やペットとしての人気ゆえか、本来生息していなかった北海道に持ち込まれてしまい、生態系へのダメージが懸念されています。

また、もともとカブトムシが生息している場所でも、全く別の地域の個体を持ち込んでしまうと、独自の地域個体群が失われる原因となってしまいます。

カブトムシ。条件によっては国内外来種に該当することも

4.時期は問わない

いつ持ち込まれたのか、外来種の定義上その時期は問いません。

たとえば、オオクチバスが日本に持ち込まれたのは1925年。すでに100年が経過しました。すると時々、「100年も日本にいるんだからブラックバスはもう在来種だ」などと言う方を見かけますが、人間によって持ち込まれたのであれば100年経っても、1,000年経っても、そのいきものは外来種です。

つまり、縄文時代に人の手によって日本に持ち込まれたイネ、すなわちお米も実は外来種なんです。

イネ。実は、縄文時代に大陸から伝わった外来種

おわりに

長くなりましたが、ここまでが外来種の定義と間違えやすいポイントです。日本人にとって欠かせないお米も外来種というと、驚かれる方もいらっしゃるのではないでしょうか?

それでは、環境のためにイネも駆除しなければいけないのかというと、そうではありません。対処をしなければならないのは自然環境や生物多様性、人々の健康や農林水産業に悪影響を与える、もしくは与える可能性の高い「侵略的外来種」が対象となってきます。

次回以降は、具体的な侵略的外来種が持ち込まれた経緯や法的な扱い、自然環境などにどんな悪影響があるのか、という点を中心にご紹介します。まずは、最も有名な外来種の1つといっても過言ではなく、僕が外来種という言葉を意識するきっかけになった魚、ブラックバスことオオクチバスを紹介します!

【執筆者】
さかな芸人ハットリ
お笑い芸人。1988年9月5日神奈川県横浜市生まれ。早稲田大学卒業。魚を愛する水産系芸人として、お笑いを通して魚の魅力や外来種問題を伝える。日本さかな検定(通称ととけん)1級。2024年8月から、各地で悪影響を及ぼしている外来種を調理して提供する「外来種キッチンカー」の営業を開始。同年12月、ハンドブック「結局、外来種って何がいけないの?」(監修 環境省)を作成・配布開始。主な著書に「日本一魚好きな芸人の魚図鑑」(KADOKAWA、2021年)。

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