さかな芸人ハットリが解説! 外来種を知ろう! 【第2回】ブラックバス(オオクチバス・コクチバス)

皆さんこんにちは! 魚の名前で歌う芸が持ちネタで、外来種キッチンカーのオーナーでもある「さかな芸人ハットリ」です。
前回は、外来種とは何かという定義をお話をしましたが、今回から具体的に問題になっている種を紹介していきます!

トップバッターは、最も有名な外来種の1つといっても過言ではない「ブラックバス」。僕が外来種に興味を持ち、外来種キッチンカーを始めるきっかけとなった存在でもあります。

釣りの対象として人気のオオクチバス

ブラックバスってどんな魚?

ブラックバスは、サンフィッシュ目サンフィッシュ科(かつてはスズキ目サンフィッシュ科)に分類される魚のうち、主にオオクチバスやコクチバスなどを総称したもののことで、一般的にはオオクチバスのことを指すことが多いです。同じサンフィッシュ科には、有名な外来種「ブルーギル」も含まれます。

ブルーギル

ブラックバスは小魚を獰猛に襲う魚食性の高い魚、いわゆる「フィッシュイーター」なので、果敢にルアーを追いかけます。その一方で、警戒心が強く釣るのに技術も必要なため、数ある釣りの中でも特にゲーム性が高く根強い人気を誇ります。

そのため、かつて日本各地で釣りを目的とした大々的な放流が行われ、各地の在来種の魚、甲殻類、昆虫などに多大なダメージを与えてしまいました。そして、2005年に「特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律」、通称「外来生物法」が施行されると、ブラックバスは「特定外来生物」に指定されました。

特定外来生物って何?

「特定外来生物」は、外来生物法で飼育や生きたままの移動、売り買いなどに罰則が定められた外来種のことです。違反すると、個人だと3年以下の懲役、または300万円以下の罰金、法人の場合は1億円以下の罰金という、非常に重い罪が科されます。

オオクチバスやコクチバス、ブルーギルのほか、アライグマ、カミツキガメ、ウシガエル、オオキンケイギクなどの様々な動植物が指定されているので、とにかくそれらのいきものを移動させたりしないようにしましょう!

特定外来生物のオオキンケイギク

それでは、ここからはオオクチバスとコクチバス、それぞれについて深掘りしてみましょう。

オオクチバスの特徴

頭から尾にかけて、体の真ん中に太いラインが走る個体が多く、「オオクチ」というだけあってコクチバスよりも口が大きいのが特徴です。

オオクチバスの幼魚(左)。右下はブルーギル

池や沼などの止水域を好む魚なので、タナゴの仲間や水生昆虫などへのダメージが顕著です。日本に持ち込まれたのは1925年で、なんと既に100年が経ちました。しかし、第1回でもお伝えしたように、持ち込まれて何年経とうと、外来種の定義上ブラックバスは日本ではずっと外来種です。

コクチバスの特徴

コクチバスは、英名の「スモールマウスバス」を略して「スモール」と釣り人から呼ばれることが多いです。ただ、それはオオクチバスよりも口が小さいというだけで、実際は50センチメートル以上にも成長する魚です。

福井県で釣った40cm弱のコクチバス

オオクチバスとはしま模様の縦横が逆で、虎柄のように見えます。また、オオクチバスと違って流れの速い川を好み、ヤマメやアマゴ、アユなどの水産上重要な魚種へのダメージが深刻化しています。

コクチバスの幼魚

ハットリとブラックバスの思い出

最後に少しだけ、ブラックバスの思い出をお話しします。僕が小学生の頃は、バス釣りブームのど真ん中でした。実際にブラックバスを目にする機会はなかったのですが、当時バス釣りをテーマにした児童向け漫画が人気で、同級生の間でブラックバスは憧れの魚でした。淡水魚好きで図鑑少年だった僕は、「ブラックバスは本当は日本にいちゃダメなんだよ!」と友人にドヤ顔で説教をかまし、「何言ってんの?」という空気にさせるということを繰り返していました。

しかし、中学に上がるか上がらないかというタイミングで、友人から「◯◯池でバス釣れるらしいから行こうよ!」と誘われて、初めてバスを釣りました。物心ついた頃から親しんできたヤマメやアブラハヤ、マハゼとはまた違う、ゴツゴツとした異国の雰囲気あふれる魚に一気に心を奪われてしまいました。

その時、子どもながらに「バスはいちゃいけない、でもカッコいいし釣りたい」という矛盾を感じたのです。

その後、僕はさかな芸人として活動するようになり、釣りを通して外来種問題に触れていく中で自分なりに何かやれることはないか、普及啓発ができないかと思い、外来種キッチンカーをオープンしました。しかし、初めてバスを釣った時に感じた矛盾は今も消えないままです。

僕の1番の願いは、ブラックバスが憎まれる魚ではなくなることです。そのためにも我々釣り人こそが、今も無くならない釣りを目的とした違法な放流を絶対に許さないことが大切なのだと思います。

【執筆者】
さかな芸人ハットリ
お笑い芸人。1988年9月5日神奈川県横浜市生まれ。早稲田大学卒業。魚を愛する水産系芸人として、お笑いを通して魚の魅力や外来種問題を伝える。日本さかな検定(通称ととけん)1級。2024年8月から、各地で悪影響を及ぼしている外来種を調理して提供する「外来種キッチンカー」の営業を開始。同年12月、ハンドブック「結局、外来種って何がいけないの?」(監修:環境省)を作成・配布開始。主な著書に「日本一魚好きな芸人の魚図鑑」(KADOKAWA、2021年)。
ホームページ:ハットリ水産
X:@hattori95
YouTube:さかな芸人ハットリ&外来種キッチンカー

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