みなさんこんにちは!
自然ガイドのかたわら、イラストレーターとしてSNSで自然観察のネタを発信しているくますけです。
今回から、身近な野鳥の鳴き声に注目した連載が始まりました。
街を歩いていて、雑踏の中から鳥の鳴き声が聞こえてくることがありませんか? 鳥たちの鳴き声から彼らの暮らしを想像できるようになれば、ただ歩くだけだった道が自然観察の道に様変わりします。本連載を通して、身近な観察体験をお届けできたら嬉しいです。
鳥の鳴き声とともにお楽しみください。
声は聞こえるのに、姿は見えない?
ケレレレレ〜!
水辺を歩いていると、どこからか鳴り響く電子音のような音。音の主を探してみても、誰もいない……。そんな「水辺あるある」を提供してくれるのが、カイツブリです。
ミニ知識:重さはスマホと同じ
カイツブリと名前を聞いてもピンとこない人が多いかもしれませんが、都市の公園などでも出会える小さな水鳥です。体長は26センチメートルほどで、体重は200グラムくらい。大きさこそ違いますが、スマートフォンとほぼ同じ重さの鳥です。そんなサイズ感なので、広い水面に浮かんでいてもなかなか見つけるのが難しいです。

見つけにくい理由は、他にもあります。それは、カイツブリが潜水の名人だということです。一度潜ると、かなり長い時間水中にいる上、次にどこから顔を出すのか予測がつきません。小さいことに加えて、潜水上手という目視の難しさが「見かけない」理由なのです。
あのような存在感たっぷりの鳴き声なのに、振り返ると水の中に消えている……。
もはや「試されている?」と思って、ボクはムキになって探すことがしばしばです。根気よく探して、くちばしの横に生クリームをつけたような、かわいらしい顔を見ることができると、こちらの口はついほころんでしまいます。
ビル群の中で、ケレレレレ~が聞こえる
東京の皇居外苑辺りでこんな音が聞こえました。
すぐそばには有楽町や日比谷の高層ビル群が並び、道路は車の往来も激しく、ちょうど救急車のサイレンも響いている中、カイツブリの声が聞こえてきました。
大都会の真ん中。たった200グラムの水鳥が声を張り上げていました。周囲の音に少しも負けていないその声は、行き交う観光客も「これは何の音だろう?」とお堀のほうに注目するほどでした。
ナイス、存在感!
音が想像させる景色
カイツブリがそこにいるということは、お堀の中に彼らの胃袋を満たすだけの魚がいる証拠です。
ボクの頭の中には、水の中の風景が浮かんできます。たくさんの水草が生え、間をぬうように泳ぐ小魚の姿が。

コンクリートジャングルの中に、いきものたちの循環が残っていることに少しホッとしました。
鳴き声などの音を知ると、いつもの風景にまた違った情報を書き足せるような気がします。もしかすると、同じ場所でも、違う季節に訪れてみたら違う音が聞こえてくるかもしれません。
さあ、次はどんな音が聞こえてくるでしょうか。そしてどんな新しい景色を見せてくれるでしょうか。みなさんも、日常の音に注目してみてください。
観察のポイント:カイツブリの声が聞こえる場所
カイツブリは水辺の鳥ですが、流れの激しい川よりも、お堀や池など、流れが緩やかな場所で会えるはずです。真冬でも鳴き声が聞こえることがありますが、やはり春から夏にかけてが盛んにさえずる季節です。
【文・イラスト】
くますけ
子どもたちに自然の楽しさをやわらかく伝える専門家。自然ガイド歴17年。関東平野の真ん中で筑波山を眺めながら、すくすくと育つ。20代最後の挑戦で、体験型環境教育を実践するホールアース自然学校へ転職。柏崎・夢の森公園での勤務を経て独立。くだけた説明が行政・企業・先生から好評。おうち時間が増えたのをきっかけにイラストを描き始め、公園や庭で見られる自然の発見や誰かに言いたくなる話をSNSで発信している。著書に「エナガの重さはワンコイン」(山と渓谷社)。
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