あの鳥のここがたまらない!身近な野鳥の偏愛観察記【第6回】カワセミは2頭身の紳士

「キキーっ!」

水辺を歩いている時に、自転車のブレーキ音のような音が聞こえてきたら、それはカワセミの声かもしれません。

「渓流の宝石」と呼ばれる彼らですが、渓流に行かずとも、意外にも都市の公園や住宅街の小さな川、さらには用水路にも現れる、身近な鳥です。今回はそんなカワセミの魅力を紹介します。

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推しポイント① 2頭身フォルム

カワセミは、ほかの同じサイズの鳥に比べて、ダントツにくちばしが長いです。そんな頭部のダイナミックなつくりのわりに、胴体はちょこんとしていて、全体を見るとなんだか2頭身で「ぬいぐるみ」のようなフォルムです。

ところが、動きはまったくぬいぐるみじみたところがありません。飛ぶときは、水面スレスレを一直線にピューンと飛んでいきます。そして、狩りのときには、そのくちばしをモリのようにして、一直線に水中へダイブ! こうして魚やエビを捕まえるのです。

ちなみに、カワセミが水に飛び込む時、水しぶきが少ないのはこのくちばしの形状のおかげといわれています。このデザインの妙にヒントを得て、新幹線の鼻先がデザインされたというのは有名ですね(新幹線は水しぶきを出さないためではなく、トンネルに入る際の衝撃音を抑えるのが目的)。

カワセミはぬいぐるみのように愛らしいだけではなく、実は高性能なデザインが装備されている、水辺のハンターでもあるのです。

推しポイント② 相手思いの紳士

カワセミのオスは、春の恋のシーズンになると、獲った魚やエビをメスに贈る「求愛給餌」をすることで知られています。鳥の世界にもプレゼントの概念があったのか! と驚きですが、それだけではありません。渡し方にまで、細やかな気配りがあります。

まず、プレゼントが魚の場合。魚にはヒレやウロコがあるので、頭から飲み込んだほうがスルッと飲み込めます。逆にしっぽからだと、ヒレやらなにやらが引っかかってしまいます。だから、メスが飲み込みやすいように頭を先にして「付き合ってください」とプレゼントします。

これがエビの場合はどうでしょうか。エビは頭に触覚や、トゲのようなツノがあります。これを頭から飲み込もうとすると、ノドに刺さりますね。だから、エビの時は向きを変え、尻尾を先にして「結婚しよう」と渡すのです。

なんて相手思いの行動でしょう。獲物を獲るだけでも大変だろうに、渡す瞬間の向きにまで気を配っているなんて!

池のほとりは、紳士たちの社交場

エメラルドグリーンの翼の美しさや、かわいらしいフォルム。そこに隠された機能美あふれる2頭身の紳士、カワセミ。
もし水辺の近くを歩く機会があったら、ぜひ音を頼りに探してみてください。もしかしたら、小さな紳士が意中の相手に渡すプレゼントの向きを整えている場面に出会えるかもしれません。

本シリーズは今回で最終回!
次回からは「鳴き声」をテーマにした連載が始まります。日常で耳に入ってくるさまざまな音。その中に混ざっている鳥たちの鳴き声を知り、外にいる時間が楽しくなるような内容を届けられたら嬉しいです。お楽しみに!

【文・イラスト】
くますけ
子どもたちに自然の楽しさをやわらかく伝える専門家。自然ガイド歴17年。関東平野の真ん中で筑波山を眺めながら、すくすくと育つ。20代最後の挑戦で、体験型環境教育を実践するホールアース自然学校へ転職。柏崎・夢の森公園での勤務を経て独立。くだけた説明が行政・企業・先生から好評。おうち時間が増えたのをきっかけにイラストを描き始め、公園や庭で見られる自然の発見や誰かに言いたくなる話をSNSで発信している。著書に「エナガの重さはワンコイン」(山と渓谷社)。
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