鳥は病気や不調を隠す動物です。普段からの健康チェックは、病気の早期発見・早期治療につながります。
今回は、お家でできる健康チェックや、よく見られる症状に関して解説します。これまで毎日健康チェックをしていた方は今後の参考に、健康チェックをしていなかった方はこの記事を見ながらぜひ試してみてください。
普段と違う行動をしていないか
普段と何か違う様子がないか、気づいてあげることが重要です。そのためには、普段から鳥の様子をよく見ておくことが重要です。

たとえば、次のような行動をしていないかチェックしてみてください。
・膨羽(羽を膨らませる)
具合が悪い時に最もよく見られます。
・背眠(嘴<くちばし>を背中に突っ込んでいる)が多い
普段からする子もいますが、寒い時や具合の悪い時には頻度が増えます。
・寝ている時間が長い
こちらも具合が悪い時によく見られます。
・目をしょぼしょぼさせている
具合が悪い場合や脱水の時にも見られます。
・床でじっとしている
具合が悪い場合もありますが、メスの発情行動で見られることもあります。
・放鳥しようとしても出たがらない
普段すぐに出てくる子が出てこない場合や、外に出てもじっとしている場合は要注意です。
・フラフラしたり、ぐったりしている
危険な状態です。すぐに動物病院を受診しましょう。
血色のチェック
嘴・舌・足・アイリングの血色をチェックしましょう。貧血や酸素の取り込みが悪い場合などの状態を評価できます。
正常な時に写真を撮っておくと、比較ができるのでおすすめです。
・色が薄い、白っぽい
貧血や血圧が低下している可能性があります。ブンチョウは、幼鳥期や換羽期にもアイリングの色が薄くなることがあります。
・足の血色が濃い(赤みが強い)
脱水を起こしている可能性があります。
・嘴や舌の血色が暗い(紫っぽい)
チアノーゼ(低酸素状態)が疑われ、循環器疾患(心臓、血管)などの可能性があります。


体重・体格のチェック
体重や体格は、栄養状態や発情状態の評価などに重要であり、体調変化を早期に発見できる可能性があります。毎日確認する習慣をつけましょう。
体重測定の頻度とタイミング
毎日、飼い主が起きてすぐ計測がおすすめです。朝はあまり食事をしていないことが多いので、体重の誤差が出にくいです。難しければ週に1回以上、決まった時間に計測をしましょう。

評価のポイント
体重は日によって多少の増減はありますが、増減が続く場合や急激な増減には注意が必要です。体重の増減からは以下のようなことが考えられます。
・徐々に体重が増加:肥満、腫瘍や腹水、発情など
・急に体重が増加:卵の形成など
・徐々に体重が減少:食欲低下、換羽期の負担、疾患を抱えているなど
・急激に体重が減少:脱水、産卵後など
体重の基準
個体差があるため、体格の評価(ボディーコンディションスコア:BCS)と合わせて判断する必要があります。
一度獣医師に相談することをおすすめしますが、普段からチェックをしていると自分でも評価できるようになるので、挑戦してみてください。
ボディーコンディションスコア(BCS)に関して
胸筋のつき具合や竜骨突起の張り出し方から、5段階や10段階で評価されます。
私が実施している5段階でのBCSの評価を紹介します。1になるほど痩せており、5に近いほど肥満と評価します。
・BCS5:重度肥満。胸筋が竜骨突起より高くなっている
・BCS4:肥満。胸筋が竜骨突起と同じくらいの高さ
・BCS3:正常な胸筋の付き具合
・BCS2:削痩。胸筋が減っている
・BCS1:重度削痩。胸筋がほぼない


食欲のチェック
鳥は具合が悪くても食べたふりをすることがあるため、食欲のチェックには食事の食べ方、便の出かた・状態、体重の変化などで総合的に判断する必要があります。
食事のとり方
・餌が減っているか
散らかして下に落ちているだけのこともあるため、注意が必要です。
・皮付き餌の皮を剥いているか
食べたふりのときは、中身が下に落ちていることがあります。
・食べる勢い
いつもより勢いがない時は、食欲が低下していることがあります。
・餌の選り好み
いつもは満遍なく食べる子が選り好みをする場合は、食欲低下が考えられます。
・食事制限しているのに、食事を残す
食欲が低下している可能性が高いです。
体重
・減少している
食欲が低下している可能性があります。
便の出かた・状態
・便が出ない、数が少ない、小さい
食欲低下や腸閉塞などの可能性があります。
・便の緑色が強い
絶食便で、食欲が低下している可能性があります。
糞便のチェック
糞便は必ず毎日出るものです。糞便は食欲だけではなく、体の状態などを評価することもできるとても重要なものです。写真も参考に見てみましょう。
色
・薄緑〜緑
正常な色です。
・濃緑色
絶食便のことが多いです。エンバクやひまわりを多く食べている場合にも出ることがあります。
金属中毒では、濃緑色でもビリジアン色(やや青みを含んだ濃緑)になることがあります。
・茶色
上部消化管からの出血や、血液の摂取(傷口を舐めるなど)が疑われます。
ニワトリやウズラなどの盲腸便でも出ることがあります。
・黒色
上部消化管からの重度出血や、血液の大量摂取が疑われます。
※血液は胃酸にさらされると黒色に変化する
・白色
デンプンの消化不良やバリウム造影の検査後に見られます。
・赤色(血便)
下部消化管・生殖器・泌尿器・総排せつ腔からの出血が疑われます。
・オレンジ色
ブンチョウなどで見られる粘膜便です。普段も少量であれば見られることがありますが、食欲低下や腸炎などで見られることもあるため、数や頻度が多い場合は注意が必要です。
・カラーペレット色
色付きペレットの色を食べている場合出ることがあります。



大きさ・太さ
・大きい、または太い
たくさん食べた場合や発情性の溜め糞、消化管の動きが悪い場合などに見られます。
・小さい、または細い
食欲が低下している場合などに見られます。
硬さ
・軟便
胃腸の動きが悪い、水分摂取量が多い場合に見られます。
サザナミインコやローリー/ロリキートでは、正常でも見られることがあります。
・下痢
腸炎などでみられることがあります。
におい
通常はほとんどありませんが、臭い場合は腸内細菌のバランスが悪いなどが考えられます。
ニワトリやウズラの盲腸便は、正常でも臭いことがあります。
未消化物
・細粒便(シードは砕けているが細かい粒がある)
砂を食べている場合や(塩土、サンドパーチ、植木鉢の砂、砂浴び用の砂など)、筋胃での消化が悪い場合があります。
・全粒便(シードがそのまま出ている)
筋胃での消化がかなり悪い状態です。胃炎などが疑われます。

尿酸・水分尿のチェック
鳥は泌尿器から尿酸と水分尿を排せつします。それぞれの状態を確認することで体調のチェックをすることができます。こちらも写真を参考に見てみましょう。
尿酸の色
・白色〜クリーム色
正常な色です。
・黄色
肝臓の異常、感染、心疾患などで見られます。
・緑色
重度の感染や敗血症などで見られ、危険な状態が疑われます。
・ピンク〜赤色
溶血性疾患で見られることがあります(重度の感染、中毒など)。
・赤色
腎臓や尿管からの出血が疑われます。
・オレンジ色
暴れて筋肉が負担を受けた場合に見られることがあります(ミオグロビン尿)。


水分尿の量や色
・多尿(便の周りの水分の広がりが500円玉の大きさ以上)
暑い、発情、換羽、ペレット食で水分摂取量が多い、緊張などの生理的原因や病的原因(腎疾患、肝疾患など)が考えられます。
・赤色
下部消化管・生殖器・泌尿器からの出血の可能性があります。
・緑色
便色が移った場合や、緑色の野菜などを多く摂取した場合などに見られます。
・ペレット色
カラーペレットの色が出ることもあります。
吐き戻しと嘔吐・吐出のチェック
鳥では、生理的な吐き戻し行動と病的な嘔吐・吐出があります。
それぞれを見分けることは、健康チェックの上でとても重要です。
吐き戻し
主にはオスからメスのプレゼント吐きです(発情性吐出)。
パートナーや対象物に向かっての吐き戻しは、1点に吐きつけることが多いです。
ヒナ同士で吐き戻し行動をすることもあります。
嘔吐・吐出
口に戻った吐物を吐き散らす行動です。
吐物が周りに撒き散らされてケージについたり、顔や体について汚れたりすることもあります。病的なこともあり、続くようであれば、動物病院を受診してください。

くしゃみ・鼻水・咳・呼吸のチェック
肺炎や鼻炎などの呼吸に関わる病気も多いため、呼吸器に関わる症状がないかのチェックも重要です。特に、くしゃみと咳の見分けは重要なポイントです。
くしゃみ
「クシュン」「プスッ」などが鳥のくしゃみです。鼻水を飛ばすこともあります。水を飲んだ後や、水浴びの際にすることもあります。連発している場合や、頻度が増えている場合には注意が必要です。
鼻水
くしゃみのとき以外に、鼻の上の羽が濡れていたり汚れていたりする場合、鼻水が出ていることが多いです。鼻水が多いと、固まって鼻の穴が汚れて詰まってしまうこともあります。
コザクラインコやマメルリハでは、普段は羽で隠れている鼻の穴が見えるようになるのも特徴です。

咳
「ケッケッ」「カッカッ」など、詰まったように咳をします。
呼吸器や循環器(心臓や血管)の異常で見られることが多いです。
食べ物を誤嚥(ごえん:食べ物や水が気管に入ってしまうこと)してむせた時にも出ます。
呼吸
・呼吸の回数が多い、体全体で呼吸をしている、テイルボビング(尾羽を上下する呼吸)をしている
呼吸が苦しいときに見られます。
・開口呼吸や上を向いて呼吸
かなり呼吸が苦しいときに見られる行動です。開口呼吸は、暑い場合にも見られます。
・飛んだ後の息切れが長く続く
主に循環器(心臓や血管)の異常で見られます。
・呼吸音(ヒューヒュー、ピーピー、スースー、プツプツ、プチプチ)
肺の異常、甲状腺の病気、腹水などが呼吸器に流入した場合に見られます。
その他の体の部位(腹部、そのう、目、嘴、ロウ膜、尾脂腺)
腹部
腹部は羽根に隠れているため、外見からは異常が分かりにくいです。発情や産卵、生殖器疾患(卵巣・卵管・精巣)、肝臓疾患、腫瘍性疾患などで腹部が膨らむことがあります。可能であれば保定して、お腹を優しく触ってみましょう。
色の変化にも注目です。腹壁ヘルニアの場合には、腹部の皮膚が黄色くなることがあり、ブンチョウの胆嚢嚢腫では黒緑っぽくなることがあります。

そのう
食後に少し膨らむか、わからないくらいが正常です。
そのうが過剰に膨らんでいる場合は、そのう下垂、そのう内異物の可能性があります。

目
目の周りが赤くなっていないか、腫れていないか、汚れがついてないかなどをチェックします。他にも、目を閉じる頻度が多い、閉じているなどのチェックもします。

嘴
嘴が伸びていないか、血班がないかなどチェックします。正常な時の写真を撮っておくと比較しやすいです。
上嘴と下嘴の付け根(口角)に汚れがついてないかもチェックしましょう。

ロウ膜
セキセイインコの鼻の周りのロウ膜をチェックします。メスで発情している場合は、茶色く盛り上がることがあります。オスで同じような変化が認められた場合、精巣腫瘍の可能性があるため注意です。

尾脂腺
尾脂腺は、尾羽の付け根の背中側にあります。羽根に隠れていて見えにくいため、可能であれば、羽を避けて見てみましょう。尾脂腺には脂が溜まることや、腫瘤ができることがあります。

おわりに
人と違い、鳥は自分の不調を言葉で話してはくれません。飼い主が日頃から観察をし、細かな違いに気づく必要があります。健康チェックは、継続が大切です。気負いすぎず、毎日のふれ合い時間に気にしてみることをおすすめします。
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【執筆者】
永嶋惇平(ながしまじゅんぺい)
獣医師。とくしま鳥の病院(徳島県徳島市)院長。日本大学生物資源科学部獣医学科卒業。神奈川県の鳥類専門病院「横浜小鳥の病院」に勤務後、2025年5月に徳島県徳島市にてとくしま鳥の病院を開院。鳥類臨床研究会、Association of Avian Veterinarians(鳥類獣医師協会)所属。飼い主と動物に寄り添った診察に尽力している。
X:@bird_vet
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LINE:とくしま鳥の病院
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