飼い鳥の家庭医学【第1回】飼い鳥の種類と飼育の基本

飼い主の声を真似したり、肩に乗ってコミュニケーションを取ることができる飼い鳥。本連載では、そんな飼い鳥と暮らす上でよく出会う病気や、飼育の注意点、健康チェックの方法などを解説します。
飼い鳥に関する理解を深め、楽しい毎日に役立てば幸いです。

これから鳥を迎える方、初めて迎えた方、すでに一緒に暮らしている方など、全ての鳥好きさん必見です!

飼い鳥の主な種類

国内でよく飼われており、最近の診察でもよく見る鳥をご紹介します。これから鳥をお迎えする方は、ぜひ参考にしてください。

セキセイインコ

国内でも最も多くの人に親しまれているインコです。人にもよく馴れ、おしゃべりや芸も上手に覚えることが多いです。様々なカラーバリエーション(色変わり)もあり、見た目の愛らしさも魅力の一つです。

色変わり以外にも、羽が巻き毛のようになる羽衣セキセイインコや、体長が20センチメートル以上、体重40グラムを超えるようなジャンボセキセイインコといった品種もいます。

セキセイインコ

オカメインコ

こちらもとても人気があり、セキセイインコより大きく、頭頂部の冠羽や名前の由来にもなっている頰のオレンジ模様が特徴です。人にもよく馴れ、口笛の真似などが得意な子も多いです。
「インコ」の名がついていますが、冠羽があるため、オウムの仲間です。

「オカメパニック」という、何かに驚いて突然暴れ出すなど、少し神経質な子もいるので注意が必要です。

オカメインコ

ブンチョウ

江戸時代から日本でよく親しまれてきたフィンチ類の鳥で、手に包まれて寝てしまうくらい、人に馴れます。目の周りにある赤い「アイリング」が特徴で、とても可愛らしい鳥です。ブンチョウも、ノーマルカラー以外に、白、サクラ、シナモン、シルバーなどの色変わりがいます。

ブンチョウ

コザクラインコ

セキセイインコ、オカメインコに匹敵する人気なインコです。尾羽は短く、コロンとしたフォルムが非常に愛らしいです。近年、かなり多くの色変わりがおり、見た目でも私たちを楽しませてくれます。お喋りはあまり得意ではありませんが、短い言葉であれば覚えてくれることもあります。「ラブバード」とも呼ばれパートナーとの結びつきが強く、人にもよく馴れます。

噛む力が少し強いので、他の鳥と遊ばせる際には注意しましょう。特に発情中のメスは攻撃的になりやすいです。

コザクラインコ

ボタンインコ(キエリクロボタンインコ、ルリコシボタンインコ)

先ほどのコザクラインコと同様、ラブバードに分類されるインコです。国内でボタンインコと呼ばれて飼育されているのは、主に「キエリクロボタンインコ」と「ルリコシボタンインコ」です。ボタンインコはコザクラインコとフォルムは類似していますが、アイリングがあることが大きな特徴です。人によく馴れる点もコザクラインコと同様です。

ルリコシボタンインコ

ウロコインコ(ホオミドリウロコインコ)

ウロコインコ(ウロコメキシコインコ属)にはいくつかの種類がいますが、国内で多く飼われているのは「ホオミドリウロコインコ」です。非常に頭が良く、おもちゃを使った芸などを覚えてくれることもあります。一方で、おしゃべりはあまり得意ではありませんが、短い単語などを覚えてくれることがあります。時々仰向けで寝る子もいて、他のインコとは違った動きをするのも魅力です。

ホオミドリウロコインコ

マメルリハインコ

小さいながらも活発で、その可愛らしい姿が人気のインコです。人にもよく馴れ、声があまり大きくないのも特徴です。おしゃべりはそこまで上手ではありませんが、短い単語など覚えてくれる子はいます。最近では様々な色変わりも出てきました。

小さい体ですが噛む力は少し強いので、他の鳥と遊ばせるときは注意が必要です。

マメルリハインコ

サザナミインコ

最近人気が出てきたインコです。つぶらな瞳が特徴であり、声も小さく、おとなしい子が多いです。他のインコに比べて動きがゆっくりで、のそのそとした感じも可愛らしいです。様々な色変わりも出てきています。胃の消化が弱い子が多いので、ペレット食がおすすめです。

サザナミインコ

飼育に関する注意点

鳥と暮らす上で、気を付けなければいけないことはたくさんあります。注意しないと体調を崩すこともあるので、とても重要です。

おもちゃやケージ内の環境

おもちゃは、鳥用で販売されているものであれば中毒などの心配はほとんどありませんが、壊して食べてしまう場合は、繊維質なもの(布、紐、繊維状になる木材など)は避けたほうが良いです。そのう(食道の一部)の中で塊になってしまうことや、腸の中で結石を作ってしまうことがあります。

止まり木は、加工された木材や天然木の止まり木がおすすめです。
止まり木に細かい砂をコーティングしたサンドパーチは、コーティング部分を食べてしまうことがあります。また、備長炭のパーチで爪が伸びにくくなることがありますが、食べると糞便が黒くなるため健康チェックが難しくなる可能性があります。これらは避けたほうが良いでしょう。

ケージの金網がサビてきたら交換することをおすすめします。サビを食べたり舐めたりすることで中毒を起こす可能性があります。ケージ内の用品も、破損していると怪我をしてしまうことがあるため、交換してあげましょう。

床材は糞便などが溜まるため、毎日交換します。その際に、健康管理のために糞便の状態を必ずチェックしましょう。健康チェックの基本は、また別の回で解説します。ケージ全体の掃除も、1~2週間に1回くらいを目安に、定期的にしましょう。

温度

温度の管理はとても重要です。室温の低下や、朝夕の寒暖差などが体調不良の原因になることが多いです。温度が低下する冬はもちろん、春や秋など寒暖差が大きくなる時期も注意しましょう。

保温のポイント
鳥は暖かい空気を吸うことで体を温めるので、空気を温めてあげることが重要です。エアコンや電球タイプのヒーターを使用してみてください。サーモスタットを使用して、温度変化がないように保温してあげるのもいいでしょう。暖かい空気を逃さないように、ダンボールやアクリルケースなどで囲いを作ってあげることもおすすめです。
※電球ヒーターは、ケージ内やケージの外側に設置すると火傷のリスクがあるため、金属製のブックスタンドなどを使用して、ケージから少し離して設置してください。

保温時のレイアウトの例

温度の調節は、鳥の様子を見ながら決める必要があります。暑がっている時(翼を広げる、口をパクパクするなど)には温度を下げ、寒がっている時(羽を膨らませている、足が冷たいなど)は温度を上げます。温度の目安は次の通りです。

・健康な成鳥:25~26℃
・雛/幼鳥:28~30℃
・換羽中:27~28℃
・病気療養中:30~34℃

食事の種類と注意点

鳥の食事には、大きく分けてシードとペレットがあります。
それぞれのメリット・デメリットや注意点などを解説していきます。

シード食

アワ、ヒエ、キビなどのシード類やヒマワリ、アサノミ、サフラワーなどの種実類があります。
オメガ3脂肪酸(α-リノレン酸)が多く含まれるため、適量を摂取すると健康的であるといえます。また、嗜好性が高いので、食欲が低下した際にも食べてくれることが多いです。皮付きの餌であれば保存性が高く、品質が落ちにくいのが特徴です。

一方で、ビタミン類やヨード、カルシウム、タンパク質などの栄養の不足が起きやすいため、副食が重要です。キビなどシードの種類によっては胃の負担になりやすいことや、種実類の多くは脂肪分が高いため、食べ過ぎると太りやすくなります。

ワンポイントアドバイス!
シード食では必ず副食をあげましょう! 野菜だけではバランスを取ることが難しいので、ビタミン・ヨード剤(鳥用)やカルシウム剤、乾燥酵母や大豆ミールなどのタンパク質を副食として与えましょう。カルシウム剤には、カトルボーンがおすすめです。他にボレー粉もあります。
また、成鳥にはむき餌ではなく、皮付き餌をおすすめします。むき餌は、栄養価や保存性が低下します。

ペレット食

総合栄養食と呼ばれ、必要な栄養が全て入っています。消化が良く、胃の負担になりづらく、換羽期や成長期に使用できる高タンパクペレットや、病気、肥満の時に使用できる療法食もあります。

嗜好性の面から、シード食からの切り替えに根気がいることがあります。また、コスト面において、ペレットはやや高い傾向にあります。その他にも、飲水量が増えることがあります。

ワンポイントアドバイス!
できるだけ着色されていないペレットをメインにすることをおすすめします。着色料によって便の色や尿の色が変化し、健康チェックが難しくなることがあります。

その他:野菜や果物

野菜は、抗酸化物質(アンチエイジング効果が期待できる)が豊富に含まれることや、食のバリエーションを豊かにすることができます。毎日適量あげることをおすすめします。
例:小松菜、チンゲン菜、サラダ菜、ピーマン、パプリカ、豆苗、ニンジン、レタス、キャベツ、ハコベなど

果物は糖分がやや高めです。与えすぎると肥満や下痢につながる可能性があるため、おやつ程度にしましょう。
例:リンゴ、ブドウ、イチゴ、キウイ、バナナなど

与えてはいけないもの

次の記事を参考にしてください。家庭にあるもので飼い鳥が食べてはいけないものをピックアップしています。
家庭にあるもので飼い鳥が食べてはいけないものリスト

おわりに

今回は、飼育の基本として、代表的な鳥種と一緒に暮らす上での注意点を紹介しました。鳥にも個体差があるので、ここでの知識を参考に、それぞれに合った飼育環境を整えてあげてください。
次回以降、健康チェックの基本やかかりやすい病気などを紹介していきます。みなさんと愛鳥の暮らしに役立ててもらえれば嬉しいです。

[参考文献]
・Nigel Harcourt-Brown and Jhon Chitty編、福士秀人 ほか 訳、「オウムインコ類マニュアル 第2版」、学窓社、2005年
・「コンパニオンバード百科」、コンパニオンバード編集部 編、誠文堂新光社、2007年
・「小鳥図鑑」、島森尚子 著、誠文堂新光社、2011年
・「世界のインコ」、開発社 著、ラトルズ、2016年
・海老沢和荘、第2回横浜小鳥の病院オンラインセミナー「飼い鳥の食事 シード編」、2021年
・海老沢和荘、第3回横浜小鳥の病院オンラインセミナー「飼い鳥の食事パート2 ペレット編」、2021年

【執筆者】
永嶋惇平(ながしま・じゅんぺい)
獣医師。とくしま鳥の病院(徳島県徳島市)院長。日本大学生物資源科学部獣医学科卒業。神奈川県の鳥類専門病院「横浜小鳥の病院」に勤務後、2025年5月に徳島県徳島市にてとくしま鳥の病院を開院。鳥類臨床研究会、Association of Avian Veterinarians(鳥類獣医師協会)所属。飼い主と動物に寄り添った診察に尽力している。
X:@bird_vet
Instagram:@jumpeitoritori
LINE:とくしま鳥の病院

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