みなさんは、渓流釣りをしたことはありますか? 僕が魚を好きになったきっかけは、幼少期に父親に連れられて渓流釣りに行き、アマゴという綺麗な魚にふれたことでした。普段芸人として海キャラを全面に押し出している割には、山スタートなんです。
渓流釣りで対象になる魚は、主にイワナやヤマメ、アマゴ、そしてニジマスです。ニジマスは各地の管理釣り堀でもお馴染みで、キャンプなどで塩焼きを食べたことのある方も多いでしょう。
でも、実はそんなニジマスが外来種だということは意外と知られていなかったりします。

ニジマスってどんな魚?
ニジマスは北米原産のサケ科魚類で、英語名はそのままレインボートラウトです。海に下ったものは頭が黒っぽくなるので、スチールヘッドと呼ばれます。
日本では、1877年に食用・釣り目的で移入されたのが最初とされています。釣りの対象として各地の河川に放流され、管理釣り場ではメインのターゲットとなることが多いです。また、近年では、全国津々浦々のブランドサーモン(ご当地サーモン)にも活用されています。様々な面で多くの人々の生活と産業を支えている魚といえるでしょう。
一方で、ニジマスは「世界の侵略的外来種ワースト100」に選出されている、非常に影響力のある外来種です。水生昆虫や小魚などを捕食する上に、在来のマス類よりも大きく育つこともあり、生態系へのダメージが懸念されています。

ブラックバスが多くの釣り人を魅了して、一大ジャンルとなったことがそうであるように、外来種は産業化すると減らせない、減ると困る人が出てきます。釣りだけではなく、食用としても各地で重要視されているニジマスは、ある意味ブラックバス以上にその側面が強いといえるのかもしれません。
産業管理外来種とは?
ニジマスは、「産業管理外来種」に区分されています。産業管理外来種とは、生態系に悪影響がある一方で、産業上重要なため管理されながら利用されている外来種のことで、魚類はニジマス、ブラウントラウト、レイクトラウトのサケ科3種です。


また、産業管理外来種にはビワ、キウイフルーツなどの我々が当たり前に食べている植物も選出されています。タケノコとしてお馴染みのモウソウチクもそうです。お米も定義上は外来種なので、たけのこご飯には在来種が全く入っていないんですね。
産業管理外来種の一覧を見てみると、いかに我々の生活の中に侵略的外来種が組み込まれているかが分かります。環境保護と人間社会の維持のバランス、その難しさを考える良いきっかけになります。
産業管理外来種は、第2回、第3回で紹介した特定外来生物とは違い、飼育したり放流することに法的な制限や罰則はありません。
例外として、トマトのハウス栽培で受粉に活用されるセイヨウオオマルハナバチは、産業管理外来種でありながら特定外来生物にも指定されています。

おわりに
環境のことを思うと、産業管理外来種には取り扱い業者の免許制度や、特定外来生物と同じく、逸出した場合の罰則などを設ける法的な整備が必要なのではないかと思います。しかし、もしそれが叶えば、確実に各地の業者さんへの負担になってしまうでしょう。
外来種問題は、環境問題であると同時に人と人との問題でもあります。みなさんもニジマスを釣る時や、ご飯を食べる時に、そのことについて思いを馳せてもらえると嬉しく思います。
【執筆者】
さかな芸人ハットリ
お笑い芸人。1988年9月5日神奈川県横浜市生まれ。早稲田大学卒業。魚を愛する水産系芸人として、お笑いを通して魚の魅力や外来種問題を伝える。日本さかな検定(通称ととけん)1級。2024年8月から、各地で悪影響を及ぼしている外来種を調理して提供する「外来種キッチンカー」の営業を開始。同年12月、ハンドブック「結局、外来種って何がいけないの?」(監修:環境省)を作成・配布開始。主な著書に「日本一魚好きな芸人の魚図鑑」(KADOKAWA、2021年)。
ホームページ:ハットリ水産
X:@hattori95
YouTube:さかな芸人ハットリ&外来種キッチンカー

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