昔の人はいきものをよく観察していました。それは、今回紹介するヘビの仲間「ジムグリ」のネーミングセンスからもわかります。漢字では「地潜り」と書きます。
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ジムグリの食性とそれに合わせた口の構造
このヘビの主食は、ネズミやモグラなどといった小型哺乳類。ネズミの仲間は、モグラの掘った穴をうまく利用して繁殖などをすることが知られています。それを狙うのが半地中性のジムグリ。顔を正面から見ると、上あごが下あごに覆い被さるようになっていて、土中に潜っても土が口の中に入らない構造になっています。小型哺乳類が潜む穴で、子育てをするネズミなどの獲物を見つけ次第、丸呑みして捕食するようです。このため、森の中などは絶好の狩場なのでしょうか、都市近郊の丘陵地などでも発見例が比較的多くあります。「変わった蛇が見つかったので見て欲しい」と、このヘビの写真が送られてくることが多々あります。

ジムグリの特徴
このヘビにはいくつか特徴があります。一つは、お腹側の模様が特に派手なこと。市松模様と呼ばれるチェック模様がチャームポイントで、本州に生息するヘビでここまで目立つ模様をしたヘビは他にいません。中には、お腹側が単一色の「アカジムグリ」が出現することがあります。背中の赤みが強いためその名が付き、東北地方などの寒冷地での発見例が多いです。

背中の模様は、幼蛇の頃は赤い体色に黒い斑紋などのコントラストが強いため、いかにも毒蛇のような模様をしていますが、比較的温和で毒はありません。頭部には、はっきりとしたV字型の模様が見られますが、これも成長に伴って薄れていくため、全体的に赤茶色の体色に変化していきます。
頚部のくびれがほとんどないため、まるで長い棒のような蛇です。
ジムグリの孵化
以前、草むらで細長い楕円形の卵を偶然見つけました。ヘビの卵だろうと思い、乾燥しないように湿度に十分気をつけて飼育していると、このヘビが孵化しました。

非常に硬く張りのある卵の殻を上手に破って出てくるのですが、40センチメートル近くある蛇が、よくこの小さな殻の中にうまく収容できるものだと感心します。それにしても、この生まれ出る鮮烈な色彩をした体色は、生命の神秘を深く感じます。
【文・写真】
関 慎太郎(せき・しんたろう)
1972年兵庫県生まれ。自然写真家、びわこベース代表、日本両棲類研究所展示飼育部長。身近な生きものの生態写真撮影がライフワーク。滋賀県や京都府内の水族館立ち上げに関わる。『日本のいきものビジュアルガイド はっけん!』シリーズ(田んぼのいきもの、カナヘビ、小型サンショウウオ、ニホンイシガメ、ニホンヤモリ、トカゲ、イモリ、ニホンアマガエル、オタマジャクシ、オオサンショウウオ)、『野外観察のための日本産両生類図鑑 第3版』『同 爬虫類図鑑 第3版』、『世界 温帯域の淡水魚図鑑』、『日本産 淡水性・汽水性エビ・カニ図鑑』(いずれも緑書房)、『うまれたよ! イモリ』(岩崎書店)、『日本サンショウウオ探検記 減り続ければいなくなる!?』(少年写真新聞社)など著書多数。
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