緑書房はこのたび、『動物の命の選択に悩んだ日々 みわちゃんとウリ坊からの宿題』(著:二本松昭宏)を発刊しました。
幅広い動物の命について問いかけるエピソード集
みなさんは、ウリ坊の背中に乗っていた子ザルのニュースを覚えているでしょうか?
2010年、一躍有名になった2匹は、京都府福知山市動物園で救護された野生動物でした。
本書の著者は、動物病院を開業するとともに、その福知山市動物園で長年働いていた獣医師です。
特別天然記念物、野生動物、動物園動物、有害鳥獣、特定外来生物、家庭動物……。さまざまな動物がやって来る動物病院と動物園では、さまざまな出会いのエピソードが生まれます。著者の日常には、数多くの動物との出会いがありました。
本書は、獣医師と動物の出会いをつづったエピソード集です。
著者が出会う動物は、どれも同じように傷ついた命です。しかし、動物は社会の中で分類され、「特別天然記念物」「有害鳥獣」のように名付けられることで、異なった扱いを受けます。動物を救いたい獣医師も、決められた社会ルールに従って、目の前の動物を助ける、助けないを選択しなければいけません。本書では、嬉しいことも悲しいことも、それぞれの動物との出会いにおける感動と葛藤が語られます。
そうした獣医師の日々のエピソードを通して、社会と動物のあり方について問いを投げかける一冊になっています。

社会と動物の命を扱う文学性
動物と人間社会のルールの間には、多くのすれ違いがあります。けれど社会の矛盾に対して、本書は、何が正しくて何が悪いかという判断を主張することはしていません。本書を読んだ読者のみなさんへ、実際の獣医師の葛藤をそのまま伝えることで、「命」について考えてもらう問いかけを投げかける、とても文学性の高い内容になっています。
とても静かで明瞭なエピソードが、読みやすい筆致で書かれています。小中学生のお子さんが読んでも分かりやすく、人と人以外の「命」について思いを巡らせることのできる教育書としてもぴったりの一冊です。

著者からのメッセージ
著者の二本松昭宏先生は、次のように述べています(「はじめに」から抜粋)。
私は、2004年4月から2026年3月まで、京都府の福知山市動物園において、獣医師として勤務していました。福知山市動物園は、2026年3月まで京都府の野生動物救護における二次施設に指定されており、私が勤務していた間にも、さまざまな野生動物が保護されてやって来ました。
しかし次第に、来た動物によって対応を変えなければならない状況へと変わっていきました。
助けてよい命と、助けてはいけないとされる命。目の前にある命に対して、どう向き合うべきなのか。命を助けたいと思っている獣医師であっても、その選択をせざるを得ない場面が、現場には確かに存在します。
私が動物園で過ごした日々は、そうした葛藤と向き合い続ける時間でもありました。
この本は、読んでスッキリしたり、感動したりするものではないかもしれません。ただ、現場で感じていた、言葉にしきれないもやもやや葛藤を、読んでいただいた方に、当時の私と同じように、感じていただければと思っています。
主要目次
第1章 守られる命 特別天然記念物
羽根の折れたコウノトリ/タライの中のオオサンショウウオ/豊岡とコウノトリ/Plus 特別天然記念物について
第2章 境界線の命 野生動物
川に戻ったサギ/巣から落ちたツバメのヒナ/魚を横取りしようとしたウミネコ/みわちゃんとウリ坊が出会えた時代/Plus 野生動物について
第3章 管理される命 動物園動物
サル山のサルの去勢/吹き矢の効かなかったツキノワグマ/フェンスの向こうのミニブタ/突然死したレッサーパンダ/パンが命取りになったヒツジ/Plus 動物園動物について
第4章 駆除される命 有害鳥獣
受け入れられたシカ/宇治から来たメスザル/受け入れられないヒヨドリ/アユを食べるカワウ/Plus 有害鳥獣について
第5章 排除される命 特定外来生物
行き場のないアライグマ/流されてきたカミツキガメ/助けてはいけないヌートリア/Plus 特定外来生物について
第6章 委ねられる命 家庭動物
腫瘍の犬/治療に届かなかった猫/毛玉に覆われた犬/前足を失って帰ってきた猫/血尿のウサギ/Plus 家庭動物について
第7章 宙に浮く存在の命
ぐったりしていた野良猫/遺棄されたニワトリ/カラスに襲われたコールダック/フクちゃんがやってきた/Plus 野良猫について
第8章 選択の先に残るもの
補章 野生動物救護は、どこへ向かうか

【著者】
二本松昭宏(にほんまつ・あきひろ)
1972年京都府福知山市生まれ。北里大学獣医学部獣医学科を卒業後、動物病院での診療経験を経て2003年に地元の福知山市で「にほんまつ動物病院」を開業。犬や猫など家庭動物の診療に従事しながら、2004年から2026年3月まで父が園長を務める福知山市動物園において獣医師として現場を支える。また、コウノトリをはじめとする野生動物の診療にも携わり、動物と向き合う日々の中で、「命の大切さ」とは何かを考え続けている。著書に『福知山市動物園 みわちゃんとウリ坊からの贈り物』(共著、青志社)。
※著者の所属、略歴は出版時の情報です
【本書概要】
・書名:動物の命の選択に悩んだ日々 みわちゃんとウリ坊からの宿題
・著:二本松昭宏
・発行:株式会社 緑書房
・体裁:四六判 240頁 並製
・価格:本体2,700円(税別)
・発売日:2026年11月5日
・ISBN978-4-86811-082-8
■お問い合わせ先
株式会社 緑書房 販売部
〒103-0004 東京都中央区東日本橋3-4-14
TEL:03-6833-0560
https://www.midorishobo.co.jp/

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