イギリスの南コッツウォルズ地域に、テットベリーという小さくて愛らしいマーケットタウンがあります。
アンティーク好きなら、一度は訪れてみたい憧れの町です。
ロンドンから移動してマナーハウスに滞在し、翌朝から車を走らせること約1時間。ようやくたどり着いたテットベリーは、平日の朝ということもあり、驚くほど静かでした。

公共駐車場に車を停めて、アンティークショップが並ぶメインストリートをのんびりと歩きはじめました。
ふと目に留まったのは、イギリスらしい素敵なジャケットをさらりと羽織った紳士たち。そして、そのすぐ隣をごく自然に歩く犬たちの姿でした。


この日、特に訪れたいと思っていたアンティークショップへ行き、店内でオーナーさんとアンティークの話を楽しんでいると、いつしか話題は犬のことへ。
そこで思い出したのが、今から20年ほど前、初めてイギリスを訪れたときの出来事でした。
当時、我が家では柴犬を迎えたばかりで、まだ子犬だったその子が寒くないようにと、母が洋服を着せていました。そのときの写真をイギリスの人に見せると、返ってきたのはこんな言葉でした。
「あら、どうして犬がお洋服を着ているの?」
その言葉を聞いた当時の私は、イギリスでは犬に服を着せることが一般的ではないのだろうと感じました。
もしかすると、犬に洋服を着せることは犬本来の姿に反することで、場合によってはかわいそうなことだと受け止められるのかもしれない。そんなふうに思ったことを覚えています。犬は犬らしく。当時は、そんな考え方がごく自然なものだったのかもしれません。
それから20年。犬を取り巻く環境も、少しずつ変わってきているようです。
アンティークショップのオーナーさんによると、今ではイギリスでも、洋服を着た犬を時おり見かけるそう。もちろん、おしゃれのためだけではありません。皮膚にトラブルがあり、掻くことで傷ついてしまわないように、洋服を着せることもあるそうです。
20年前には少し驚かれた犬の洋服も、今ではそれぞれの事情や目的に合わせて取り入れられるようになってきています。
犬の洋服ひとつをとっても、暮らし方や考え方は時代とともに変わっていくのだと感じました。
SNSを通じて、世界中の犬たちの暮らしや、飼い主さんたちのさまざまな工夫を知ることができるようになった現在。国や文化の垣根を越えて、愛犬にとって心地良いもの、快適に過ごせるものを取り入れられる時代になりました。
これからも、世界の犬たちの暮らしを学びながら、人にも犬にも心地良い、そんな犬社会が広がっていくといいなと思います。

【写真・文】
蜂巣文香(はちす・あやこ)
写真家。犬、猫、コンパニオンバードなどのペット写真をはじめ、手仕事やライフスタイルなどさまざまな分野で“伝わる”写真を日々撮影している。広告や雑誌、書籍、WEBなど幅広く活躍中。欧米を中心とした海外での撮影経験も豊富。愛犬雑誌「Wan」(緑書房)でもおなじみのカメラマンで、柴犬をモチーフにしたカレンダーシリーズ「しばいぬ(卓上)」「日本の柴犬(壁掛け)」「黒柴(壁掛け)」(緑書房)も毎年好評を博している。
Instagram:dogtionary_hachi

「いきもののわ」では、ペットや動物園・水族館、野生動物、動物関連イベントなど、いきものにまつわる様々な情報をお届け中!
メールマガジンでは、特集記事の紹介や次月特集の一部をチョイ見せ!
登録はこちらのフォームから。ぜひご登録ください!
各種SNSも随時更新中! ぜひフォローしてください!
