おうちで実践! 愛犬のトレーニング【第5回】「お手」~楽しく前足を預ける練習~

「お手」は、犬が前足を上げ、飼い主さんの手のひらへ乗せる動作を伝えるコマンドです。
「おすわり」や「まて」のように安全管理に欠かせないコマンドではありませんが、飼い主さんと犬が楽しくコミュニケーションを取るきっかけになります。

「お手」はどんなときに役立つ?

「お手」は、犬と飼い主さんが一緒に楽しめるトリックの1つです。合図を聞き、自分で前足を動かし、褒められるという経験は、犬の学習意欲を育てるきっかけになります。
前足を飼い主さんへ預けることに慣れると、肉球や爪の状態を確認したり、足先を拭いたりするときの練習にもつながります。

ただし、「お手」ができれば爪切りなどのケアを必ず受け入れてくれるわけではありません。足先を触る練習は、「お手」とは分けて、犬の様子を見ながら少しずつ行いましょう。

「お手」の教え方

「お手」は、犬がおやつを取ろうとして前足を少し上げる自然な動きを利用して教えます。
できれば、先に「おすわり」を練習しておくと、犬が落ち着いた姿勢で取り組みやすくなります。

おやつは小さくちぎり、犬が集中できる静かな場所で始めましょう。

「お手」のトレーニング方法

1.おやつを握った手を鼻先へ近づける

片方の手におやつを入れ、軽く握ります。犬に手の匂いを嗅がせたら、握った手を鼻先より少し高い位置に動かします。
高く上げすぎると犬が立ったり、跳びついたりするため、前足の重心が少し軽くなる程度の高さに調整します。

2.前足が少しでも上がった瞬間に褒める

犬が握った手へ前足を伸ばしたり、床から少し浮かせたりした瞬間に「そう」「いい子」と褒め、握っていたおやつを与えます。

最初から手のひらにきれいに前足を乗せる必要はありません。前足を上げる、手に触れるという小さな動きを褒め、成功を重ねましょう。

「お手」トレーニングのファーストステップ

3.受け取る手のひらを添える

犬が前足を上げるようになったら、反対の手のひらを下からそっと添えます。前足をつかんだり、強く握ったりせず、犬が自分から手の上へ乗せるのを待ちます。
前足が手のひらに触れたら、すぐに褒めておやつを与えましょう。

4.手を少しずつ開き、言葉の合図を加える

握った手に前足を出す動きが安定してきたら、おやつを親指の間に挟む、手を半分開く、何も持たずに手のひらを出す、という順番で誘導を小さくします。
犬が動きを理解してきたら、手を出す直前に一度だけ「お手」と伝えます。言葉の後に手のひらを見せ、前足を乗せられたら褒めましょう。

「おかわり」へ進む方法

「おかわり」は、「お手」とは反対側の前足を出してもらう合図です。「お手」が安定したら、反対の手を使って同じ流れを練習します。
左右を分かりやすくするため、「お手」と「おかわり」で差し出す手を毎回統一しましょう。最初から交互に何度も繰り返さず、片方ずつ確実に教えると混乱しにくくなります。

うまく前足が上がらないときのサポート方法

犬が握った手を鼻で押すだけの場合は、すぐに完成形を求めず、体重が片側へ移る、前足がわずかに軽くなるといった途中の動きから褒めてください。

立ち上がってしまう場合は、おやつを握った手の位置が高すぎる可能性があります。「おすわり」に戻り、鼻先のすぐ近くで小さく動かしましょう。

おやつを見て興奮する場合は、一度休憩して、落ち着ける環境かつ短い時間で練習してみてください。

トレーニングで気をつけたいこと

犬の前足をつかんで、無理に飼い主さんの手へ乗せることは避けましょう。足先を触られることが苦手な犬は、手を近づける、肩や上腕に触れる、短く足先に触れるというように、別の練習で少しずつ慣らします。

「お手」は楽しく行うことが一番です。1回の練習は短くし、犬が前足を自分から上げられたところで終えましょう。

おわりに

「お手」は、犬が自分から前足を上げ、飼い主さんの手へ預ける楽しいトリックです。
おやつを握った手を鼻先より少し高く見せ、前足がわずかでも上がった瞬間に褒めます。動きが安定したら手を少しずつ開き、最後に「お手」という言葉を加えましょう。
無理に前足を持ち上げず、小さな変化を褒めていくことで、犬は自信を持って楽しく覚えられるようになります。

もっと詳しく知りたい方はこちらから!
[参考動画]
【犬しつけ】保護犬に初めて”おて・おかわり”教えます【3分でマスター】

【執筆者】
松尾 邑仁(まつお・ゆうと)
株式会社東京DOGS代表取締役。一般社団法人 全日本ドッグトレーニング協会 代表理事。公益社団法人日本警察犬協会公認訓練士資格やジャパンケネルクラブ公認訓練士資格を所持。「褒めるしつけトレーニング」という独自理念のもと、飼い主と愛犬に最適な生活環境を提案する。2024年に「1年間で犬のしつけをした国内最多頭数記録(個人)」を樹立。主な著書に「褒めトレ®ゆうと先生が教える「褒める」犬のしつけ完全ガイド」(星雲社、2026年)。
Instagram…株式会社東京DOGS:@tokyo__dogs
ゆうと先生(松尾邑仁):@yuto_dog_trainer
YouTube…犬しつけTV -ゆうと先生-

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