ペット用以外にも、動物園・水族館にいる動物用ミルクの製造・販売をしている森乳サンワールドの社員さんが、ミルクを使用している全国の動物園・水族館のスタッフにお話を聞く本企画。
前回は、神戸どうぶつ王国(兵庫県神戸市)で活躍した森乳サンワールドのミルクについてお聞きしました。
今回は、同園が取り組んでいるさまざまな保全活動のうち、マレーシアのボルネオ島で行っている活動と、日本の長崎県対馬で行っているツシマヤマネコの保全活動についてお話をお聞きしました!
※情報は2025年10月時点のものです
神戸どうぶつ王国が取り組むボルネオ島の環境問題

ボルネオ島とはどのような場所なのでしょうか?

マレーシアのサバ州にある「生物多様性の宝庫」といわれる島です。
200種類以上の哺乳類、600種類以上の鳥類、260種類以上の両生類、15,000種類以上の植物が確認されている自然豊かな場所です。

そんなボルネオ島では、どのようなことが問題視されているのでしょうか?

木を売るために森が伐採されたことや、伐採跡地でアブラヤシのプランテーション開発や産業植林などが行われ、ボルネオ島の貴重な熱帯雨林が急激に減少しました。すると、そこに生息していた希少な野生動物たちが絶滅の憂き目にあうことになりました。
※アブラヤシからは、加工食品や洗剤、化粧品などに用いられるパーム油が採れる


森林開発で豊かな生物多様性が失われつつあるのですね。

さらには、プランテーションにボルネオゾウが迷い込んで、アブラヤシの葉や幹を食べてしまい害獣として駆除されるなど、人間と野生動物の衝突も大きな問題になっています。


そんなボルネオ島では、どのような保全活動が行われているのでしょうか?

「ボルネオへの恩返しプロジェクト」という活動があります。これは、NPO法人ボルネオ保全トラスト・ジャパンが行っている、ボルネオゾウを中心とした野生動物の保護や保護センターの建設、飼育技術の支援といった活動です。
また、「緑の回廊」という、森林開発によって分断されてしまった森をつなげる取り組みもあります。


神戸どうぶつ王国さんでは、ボルネオ島の環境問題に対してどのような活動をされているのでしょうか?

売り上げの一部が現地のゾウの餌代などになる「ドネーション自動販売機」の設置をはじめ、イベントや広報活動で応援・啓発をしています。


保全活動への参加を決めたのはなぜでしょうか?

佐藤哲也前園長が、動物保全へ強い想いを持っていたからです。
動物の保護や展示を通した教育・啓発だけではなく、「自分たちが野生動物を守る」「域外保全や域内保全に力を入れる」という姿勢がこれからの動物園には必要だと、佐藤前園長は言っていました。

園内だけではなく、園外での保全活動にも力を入れる必要があるということですね。

当園には、ボルネオ島の固有種として有名なボルネオゾウやボルネオオランウータンはいないんです。ボルネオ島原産の動物はビントロングしかいませんが、現地への寄付やお客さんにボルネオ島の現状を知ってもらえるような工夫は、動物園の責務としてとても大切だと考えています。

ツシマヤマネコの生息環境を守るための取り組み

ツシマヤマネコに関する保全活動もされているとお聞きしました。

ツシマヤマネコは、長崎県の対馬のみに生息する固有種で、90頭ほどしかいないとされる絶滅危惧種です。
減少の理由は、山林や田んぼが少なくなったことなどにより、餌であるネズミやカエル、鳥などが減ったからだといわれています。


対馬ではどのような活動が行われているのでしょうか?

ツシマヤマネコの餌である虫や小動物が戻ってくるように、田んぼを守る取り組みが行われています。具体的には、対馬市佐護地区の佐護ヤマネコ稲作研究会が、農薬を減らした「ツシマヤマネコ米」を作って、ツシマヤマネコが生活しやすい環境を整えています。
当園では、このお米を年間12トン購入し、園内レストラン「花のキッチン」の料理に使用しています。


お客さんは、ごはんを食べることでこの活動を応援できるのですね。

2025年の春には、私も田植えに参加させていただきました。20名くらいの参加者がいましたが、その中には当園か姉妹園の那須どうぶつ王国がきっかけで田んぼのオーナーになった方々もいらっしゃいました。

実際に園外の活動に参加してくださる方もいるんですね!

当園では、ツシマヤマネコも飼育・展示していません。ボルネオ島もそうですが、お客さんを巻き込みながら新しい輪を作れないかと考えています。こうした普及活動が、環境問題を考えるきっかけになれば嬉しいです。

日本の動物園と私たちにできること

日本の動物園がこのようなプロジェクトに取り組む意味は何でしょうか?

これまで、動物園・水族館は、来場者と飼育動物をつなげることで地域に愛されることや、保護活動や種の保存などの社会的役割を果たすことが求められてきました。しかし、今では来場者と動物たちの故郷をつなぐ役割も求められています。
ボルネオ島やツシマヤマネコの現状を伝えることは、来場者に行動の変化を促し、寄付などのご協力をいただくことで、動物園が継続して動物たちの故郷を守ることにつながります。

日々の生活の中で、私たちにはなにができるでしょうか?

ボルネオ島でいえば、パーム油が使われていない製品を選ぶことがあげられますが、日本ではなかなか難しいことだと思います。海外では、商品の写真やバーコードを読み取って、パーム油が使われているか調べるアプリがあるようですが、日本の成分表示では「植物油脂」などに含まれて表記されることが多いため、見分けるのは難しいです。

そういう意味で、日本は遅れているのかもしれませんね。

ツシマヤマネコでいえば、ツシマヤマネコ米を購入したり、オーナーになって田植えに参加したりできます。もちろん、当園のツシマヤマネコ米が使われている料理を食べていただくこともあげられます。

保全活動について、読者の方々へ伝えたいことはありますか?

私たちの生活の裏では、環境破壊や希少動物が絶滅の危機に瀕しています。私たち動物園・水族館には、こうした現状を皆さんに伝える責務があります。
きっとどこの動物園・水族館にも、このような活動についての展示パネルなどがあるはずです。ぜひ近くの動物園・水族館で見つけて、興味を持ってもらえると嬉しいです。

おわりに
神戸どうぶつ王国では、この他にもさまざまな保全活動をしているそうです。人工ミルクで動物たちの成長を支えながら、私たちにもできることはないか考えていきます。
みなさんも、こうした取り組みを知ることから始めてみてはいかがでしょうか?
次回も、全国の動物園・水族館へ足を運び、ミルクの使用の実情や飼育についてお聞きしたお話を紹介します。お楽しみに!
【森乳サンワールド】
・55周年特設サイト…https://55th.morinyu-pet.com/
・ホームページ…https://www.morinyu-pet.com/useful/lifetime-milk/
・X…@morinyu_pet
・Instagram…@morinyu_pet
【神戸どうぶつ王国】
・公式サイト:https://www.kobe-oukoku.com/
・X…@kobe_doubutsu
・Instagram…@kobe_animalkingdom
・Facebook…神戸どうぶつ王国
・YouTube…神戸どうぶつ王国 Kobe Animal Kingdom
・TikTok…@kobe_animal_kingdom1
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