フォトエッセイ猫とのほほん日和【第24回】セロくんと共に

こんにちは。今年の関西は随分早く梅雨が明けてしまいました。暑い日が続いていますが、夏の暑さはこれからが本番。乗り切るにはまだまだ気合いが要りますね。

さて、今回は近所の地域猫「セロくん」について改めて書こうと思います。

最初にセロくんと出会ったのは、4年半ほど前のことです。
近所の公園に、白黒模様のいわゆる「ハチワレ」の猫が2匹いることに気が付きました。おそらく兄弟なのでしょう。よく似た模様の2匹だったので、オセロから採って、それぞれ「オーちゃん」「セロくん」と勝手に命名し、オセロ兄弟と呼んでいました。

当初は、警戒心が強くてなかなかお近づきになることができませんでしたが、ご飯を与えたりして少しずつ僕にも慣れてきたようでした。注意して観察していると、何人かの近所の方も彼らにご飯をあげているようでした。

身体の模様はよく似ていますが、オーちゃんは比較的控えめでおとなしい一方で、セロくんはやんちゃで、甘えん坊で、攻撃的という具合に対照的でした。

セロくんには、上機嫌だと思っていたら急に噛みつかれたり、引っ掻かれたり、たびたびケガをさせられました。その都度、セロくんに優しく注意をしてきたからか、現在では多少遠慮してくれているようです。遊びに誘ってくるときも、爪を隠して僕の腕にちょこんと前足を置くようになりました。但し、半分野良なので僕は今でもヒヤヒヤしています。

あるとき、近所の公園に見たことのないピンクの粒状の物体が置いてありました。いかにも不穏な感じがして、Twitter(現在のX)に投稿したところ、親切な方からネズミ駆除用の毒餌だという情報をいただきました。

子どもも出入りする公園にそんなものを置くことはとても危険ですし、野良猫だからといって毒餌で殺すことは許されることではありません。早速警察に連絡し、餌をあげている地域の方にも知らせました。餌やりで出たゴミが散乱していたりすると、猫たちが攻撃される口実になりかねないので、一層注意するようにもなりました。

猫が好きな人間もいれば、嫌いな人間もいます。それは仕方のないことですが、そんな中でもたくましく生きている猫たちに何度も元気を貰ってきました。お互いにうまく共存できることを願っています。

2年前の夏に、急にオーちゃんがいなくなりました。近所を探しましたが、行方はわかりませんでした。地域の方とも寂しいね、と言いつつ、1匹になったセロくんを見守り続けています。

セロくんはよく喋る子です。
「セロ」と話しかけると高確率で返事をしてくれますし、「ありがとう」「ごはん」「はやく」など、僕には人間の言葉に聞こえることがしばしばです。とにかく、本当によく話します。僕に辛いことがあったときや、体調が優れないときにはこちらを心配したり、慰めたりしてくれているようにも感じます。とてもありがたいです。猫と出会ってから、精神的に強くなりました。

野良猫の生活は過酷だと思います。僕は、猫からこんなに愛情や癒しをもらっているのだから、何かお返しになることができたら、と思うようになりました。
セロくんについて言えば、できるだけ早い時期に家族として迎えることができるように、現在環境を整えています。そのときには、どこかで良いご報告ができるといいですね。

さて、2年間にわたって書いてきたこのコラムは、今回が最終回となります。
これまで読んでいただきありがとうございました。
では、またいつかどこかでお会いできますように。

【文・写真】
山本正義(やまもと・まさよし)
大阪在住の猫写真家。猫が立ち上がる瞬間をとらえた「立ち猫」写真でブレーク。ちょっぴり力の抜けた「脱力猫」、凄い勢いの「猫来る」、気の抜けた感じの「舌猫(ぺろにゃん)」、猫が集団で行進する「ずんずんずん」など、愛らしい猫たちをとらえた写真とユニークなワードセンスがSNSなどで注目を集めている。写真展、メディア出演、講演などで各地を飛び回る。写真集に『立ち猫』(ナツメ社)。
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